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シーメンスとソフトバンクがHSDPA対応通信モジュールを発売

シーメンスとソフトバンクモバイルは、シーメンスが開発したHSDPA対応のデータ通信モジュール、HC28を発売する。シーメンスのブランドでソフトバンクの販売網を使って日本国内で売り出す。これは、5cm×3.4cm×0.45cm(厚さ)という大きさの通信モジュールで、日本のHSDPAに対応しているだけではなく、同じく3周波数帯域(850/1900/2100MHz)のUMTSと4周波数帯域(850/900/1800/1900MHz)のGSM・GPRS・EDGEにも対応する。いわば世界中に使える通信モジュールといえる。

5cm×3.4cm×0.45cm(厚さ)の通信モジュール

5cm×3.4cm×0.45cm(厚さ)の通信モジュール


通信モジュールの市場は極めて大きく、その伸びは市場調査機関によって異なるが、2006年から2009年にかけての平均年成長率CAGRは36%〜38%といわれている。2006年時点ですでに2000万個〜2500万個出荷されているという。

市場は広く、あらゆる産業用途に使えるとみている。まず狙うべき市場は輸送トラックの運行状況の把握、宅配業者のPDA端末、セキュリティ、リモートモニタリング、POS端末、自動販売機、ゲートウエイなど、さまざまである。

2007年5月にガートナーが発表した市場調査では、シーメンスが市場シェアの35%を占めトップになっている。ただし、シェア32%で2位のWavecom社はソニーエリクソンの通信モジュール事業と統合したため、2社を合計すると1位と2位の差は微妙である。いずれにしてもシーメンスがこの分野の大手であることには間違いなく、国内のモジュール事業で出遅れていたソフトバンクにとっては渡りに舟で、国内市場で独占契約を結んだ。

モジュールのデータレートは、最高速のHSDPAの3.6Mbps(ダウンリンク)/384kbps(アップリンク)から、GPRSの85.6kbps(ダウンリンク)/42.8kbps(アップリンク)まで広くカバーしている。音声通信仕様もある。電源電圧は3.2〜4.2V、消費電流はHSDPA+10dB送信時420mA、遮断時50μAである。

国内通信キャリヤのソフトバンクモバイルと、モジュールメーカーのシーメンスが組むことで、通信モジュールのビジネスモデルが従来とは少し違う。従来はモジュールメーカーがキャリヤに納め、キャリヤが電子機器メーカーに納めていた。今回は両社が電子機器メーカーに納める。電子機器メーカーは直接モジュールメーカーのサポートを受けることができる。

この製品は、Siemens社のあるドイツで設計、製造していると、同社Automation and Drives Sensors and Communication部門Wireless Modulesのジェネラルマネジャーである、Norbert Muhrer氏は言う。一つのモジュールでGPRSからHSDPAまでカバーしているものはないため、グローバル市場に供給できる通信製品といえる。


Norbert Muhrer氏、松本徹三氏、ペーター・ツァップ氏

左からドイツSiemensのNorbert Muhrer氏、ソフトバンクモバイル副社長の松本徹三氏、日本法人であるシーメンス社長のペーター・ツァップ氏。

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