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高速Gbpsシリアルインターフェース用の測定センターを日本テクトロが開設

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1Gbpsを超すような高速のシリアルインターフェースが、PCI Express、SATA、HDMI、DisplayPortなどに加え、USB3.0と続々出てきた。DRAMのバンド幅も1GHzを超えるDDR3規格も現実味を帯びてきており、高速インターフェースのレシーバ、トランスミッタの信号確認が欠かせなくなってきた。計測器メーカーのテクトロニクスは、測定が難しい高速シリアルインターフェースの問題を解決するため、そのソリューションビジネスを始めた。

高速化進むデータレート
高速化進むデータレート


日本テクトロニクスはこのほど、東京品川と大阪営業所に高速シリアルインターフェース用計測ソリューションの施設T&M Center of Excellenceを開設した。Gビットを超える高速伝送では、信号パルスの矩形波が崩れ、設計マージンが減少する、ノイズによる誤動作が発生する、など従来のデジタル回路では扱えないようなアナログ的な動作を示すようになる。信号を発生する装置と伝送路とのインピーダンス整合や、信号を受ける装置と伝送路との整合を測定し定在波が立たないようにして信号が送信機から受信機まで正しいパルス波形を観測することは容易ではない。このノウハウを測定ソリューションとして顧客に授けようというのがこのセンターの目的である。


T & M Center of Excellence


ここでは、伝送レート10.2GbpsのHDMI1.3や10.8GbpsのDisplayPortといったビデオ伝送用のインターフェースから、ストレージ向けのシリアルATA3.0の6Gbps、PCI Expressの双方向10Gbpsといったコンピュータ用の高速インターフェースだけではなく、高速DRAM仕様である1.6GbpsのDDR3のタイミングパラメータを自動測定できる。さらにUSB2.0の10倍の速度を提供する5GbpsのUSB3.0についてもサポートする。

テクトロニクスの測定器としては、任意波形発生器やロジックアナライザ、リアルタイムオシロスコープ、プローブ、ケーブルなどのハードウエアに加え、ジッター/アイパターン解析用ソフトウエアやSerial/Xpressレシーバ検証ソフトウエアまで揃えている。これらを使い、きれいな波形の上にジッターをのせてレシーバを評価したり、プリエンファシスやデエンファシスを付加したりすることもできる。ビットエラーレートも評価できる。

こういった計測器は1Gbpsを超す高速インターフェースを扱うだけに、インターフェースの規格よりも2倍以上、高速でなければならない。リアルタイムオシロスコープDSA70000シリーズには、最高性能20GHzという広帯域の機種がある。5.4Gbpsのデータレート測定には13.5GHzの周波数帯域の機種を使う。PCI Express測定を考慮して4レーンすなわち4チャンネル分の測定ができるが、4チャンネル同時に使うなら波形を捉えるサンプリングレートは最高50Gサンプル/秒にも達する高性能である。

任意波形発生器AWG7122Bは、最高サンプリングレート24Gサンプル/秒、出力帯域幅7.5GHzという高速の波形を発生する。3倍のオーバーサンプリングを使い直接波形を合成するとインターリーブを利用して8Gbpsという高速レートでさまざまな波形を出力する。

高速伝送技術は従来、メインフレームコンピュータ周りの周辺機器や基幹の通信ネットワークシステムに使われてきた。こういった基幹システムからデータセンターやビデオ伝送へと応用が広がってくるとこれまで扱ったこともない高速信号が身近になってくる。デジタル回路しか扱ってこなかったエンジニアは、GHz帯の周波数やGbps級のデータレートは簡単には扱えない。アナログ波形を扱う技術が必要になってくるからだ。このセンターは、デジタルエンジニアにとっては高速伝送技術を身につける絶好の機会となる。


(2008/10/21 セミコンポータル編集室)

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