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薄型ディスプレイが花盛りのFPD International 2007

フラットパネルディスプレイの薄型化に焦点があたっている。フルカラー有機ELテレビが間もなく発売され、実用化がはっきり見えてきたため、これまでの液晶パネルも有機ELの特徴である薄さに挑戦しようというもの。薄型化の動きは2~3インチの小型の液晶から40インチを超える大型の液晶にまで広がっている。

パシフィコ横浜で開催中のFPD International 2007では、さまざまな薄型のパネルが展示されている。

まずシャープが52インチでパネルの主要部分が厚さ20mmしかなく、周辺一部の分厚い部分でさえ29mmという薄さの液晶テレビを展示した(図1)。サムスン電子は40インチの液晶パネルで厚さが10mmという液晶テレビを展示した(図2)。小型のパネルでは、シャープが3.2インチの液晶で厚さが1mmを切る0.95mmと薄いパネルを、台湾の奇晶光電(Chi Mei Optoelectronics)が2.2インチで0.68mmとこれも薄いパネルを見せた。この厚さだともはや有機ELとは遜色なくなる。


図1 シャープの厚さ20mmの52インチLCD

図1 シャープの厚さ20mmの52インチLCD


サムスンの厚さ10mmの40インチLCD

図2 サムスンの厚さ10mmの40インチLCD


液晶パネルの薄型化に大きな役割を果たす部品の一つがバックライトである。これまで携帯電話機などの小型液晶パネルには白色LED(発光ダイオード)が使われてきたが、今回のFPD Internationalでは携帯向けの2~3インチから、ノートPCあるいは40”を超える液晶テレビの世界にまで広がろうとしている。韓国のサムスン電機(Samsung Electro-Mechanics)は、携帯用から、24、40、46、52インチの液晶テレビに白色LEDを使ったパネルを展示した(図3)。白色LEDを使うメリットは薄型化だけではなく、消費電力の低減や、色域(color gamut)の広く豊かな色の実現を目指している。消費電力は20%程度下がり、色域は40インチの場合、冷陰極管が78%に対して白色LEDは98%と広い。


図3 白色LEDをバックライトとして並べた24インチのテレビ(右)

図3 白色LEDをバックライトとして並べた24インチのテレビ(右)


一方の有機ELは、CEATEC2007でソニーが11インチの有機ELテレビをこの12月に20万円で売り出すことを発表して以来、実用化が加速している。奇晶光電は、4.3インチと7.6インチ(図4)の有機ELパネルを展示したが、4.3インチは今年中に、7.6インチは来年春にはサンプル出荷を行うと発表した。パネルの厚さは液晶が同等に迫ってきたが、1万以上と高いコントラスト比と広い視野角の点で性能的には有機ELにまだ分がある。価格はこれからの問題となろう。


図4 奇晶光電が来年第1四半期にサンプル出荷する7.6インチの有機ELパネル

図4 奇晶光電が来年第1四半期にサンプル出荷する7.6インチの有機ELパネル


薄型ディスプレイの一つの応用として、電子インクとカラーフィルタを組み合わせたカラーのフレキシブル・ディスプレイをサムスンが展示した(図5)。これはプラスチック基板の上に電子インクとして使われているマイクロカプセルを置き、その上にカラーフィルタをかぶせた構造をしている。表面からの光の透過と反射を利用してカラー表示する。


図5 サムスンが展示した電子インク方式のカラーフレキシブルパネル

図5 サムスンが展示した電子インク方式のカラーフレキシブルパネル


今回の展示会では、デンソーが透明のELディスプレイを展示し、クルマ向けのダッシュボードパネルに情報を重ねて表示できる(図6)。すでにトヨタのマジェスタに搭載しており、このディスプレイを広告サインやインテリアや家電品などへ応用することを狙っている。


図6 デンソーが開発した透明ELディスプレイ

図6 デンソーが開発した透明ELディスプレイ

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