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ギガビットEthernet向け最新チップが相次いで登場

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ギガビットEthernetのチップがネットワーク半導体企業から出てきているが、大容量のデータをネットワーク間で転送するためのチップの製品化が活発になっている。このほど10GビットEthernet用のチップセットを米Solarflare Communications社が、ROC(ルーターオンチップ)と呼ぶ1GビットEthernetに必要な機能をほぼ搭載したSoCチップを米Vitesse Semiconductor社が、それぞれ製品化した。

Solarflare社の10G Ethernetチップセットは3チップからなり、10GBases-T物理層チップ2つとvNICコントローラチップである。10GBases-T物理層チップは次世代のネットワーク向け機器製品に搭載する物理層の機能を盛り込んである。vNICコントローラチップは、MAC(メディアアクセスコントロール)層のチップで、Ethernetパケットを作り出しエンドステーションやサーバーとネットワーク間の通信を制御する。

この物理層LSIは、100m以内の距離なら10Gビット/秒のデータレートを持つ10GBase-T規格に準拠している。すなわち、パケットをビット列に変換して銅線上に送るためのプロトコル層という役割をもつ。このチップを使い、ネットワーク機器を製造するODMメーカーとして台湾などのアジアのメーカーを想定している。vNICコントローラの消費電力は2W。

最近、ネットワークカードNICやスイッチ機器メーカーの米SMC Networks社に向け2007年中に出荷する計画を発表した。10Gビット/秒と高速のEthernetを利用するシステムには、VoD(ビデオオンデマンド)や大企業のネットワークシステム、データセンターなどがある。潜在顧客としては、通信キャリヤ、シスコ、IBMなど。同社マーケティング担当副社長のBruce Tolley氏は「光ファイバは高価なので、安い従来の銅線を利用するEthernetを使いたい」という。市場は2008年以降に立ち上がるという予測がある。Tolley氏は「数量がたくさん出るのはデータセンター市場」だとみる。

今回は2チップ構成の物理層LSIを90nmプロセスで製造したが、2008年3月には65nmプロセスにシュリンクして1チップの物理層を出す予定である。さらに、2010年にはMAC層と物理層との1チップ化を目指す。

一方、Vitesseが今回発表したチップG-RocXは、1Gビット/秒Ethernetに必要な機能をほぼ集積したチップである。Ethernetルーターの機器メーカーは外付け部品の点数を大幅に減らすことができる。このチップには、3つのデータレート、すなわち10M、100M、1Gビット/秒をカバーし、終端抵抗、PLL(位相ロックループ)、カスタム仕様のHNAT(ハードウエアネットワークアドレス変換)、UART、2つのUSB2.0インターフェース、PCIポートを集積している。ルーターエンジンを搭載した6ポートスイッチのチップである。

応用はデータ、音声、ビデオの3種類を要求される市場で、次世代の家庭用あるいは中小企業向けゲートウエイである。こういったゲートウエイには、802.11xやVoIP、PON、DOCSIS、XDSLルーターなどを含んでいる。チップの消費電力は3W以下だという。

VitesseはかつてGaAs半導体チップを設計製造していた企業。GaAs半導体のコンピュータ市場が小さいとわかってからは、高性能シリコンCMOSに方針変更した。現在はシリコンとSi/GeバイCMOSやCMOSのファブレス企業でネットワーク、通信向け半導体に特化している。

Vitesseのチップを使ってEthernetスイッチの消費電力を削減しようというメーカーも現れた。D-Link社が主張するグリーンEthernet技術は、使用条件によるが40%〜80%の消費電力を削減できるという。これには2つの技術を使う。一つは、100m伝送する時の消費電力と20mを伝送する時で消費電力を変えるというもの。もう一つの技術は1Gビット/秒のデータレートを常に維持するのではなく、メールなどの軽いファイルを送るだけの時はデータレートを落とすというもの。最初の技術は、Vitesseのチップ内部に検出回路を設けておき、信号を飛ばして20mで反射してくるとそれを検出してドライバの電力を下げるというもの。応用がEthernetだけにいろいろな長さの場所に端末がぶら下がっている。遠い場所でつながっている端末と近い場所につながっている端末によってドライブ能力を変えるわけだ。

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