Brionのリソグラフィシミュレーション、モデルの最適化で精度向上中
オランダASML社傘下にある、米Brion Technologies Incは、これまでのマスクを修正するOPCなどの手法を計算するリソグラフィシミュレーションを開発してきたが、最近マスクレベルだけではなく、照明系と光絞り系、ウェーハレベルの4つの光学系イメージプレーンについてモデルの開発と、各レベル間の最適化についてのシミュレーション手法を開発していることを明らかにした。
この手法を使えば、例えば光源の形状を最適化することで、コントラストのはっきりしたパターンを描くことができる。4つの照明形状を持つ従来のクェーサー型の光源形状の場合だと、パターン線上のピーク値とパターン線以外(バックグラウンド)の光強度との差が少なかった。このため、4つの照明形状を修正した光源でシミュレーションしたところ、パターン線上のピーク値は従来のクェーサー型よりも高く、パターン線以外の値は低かった。つまりコントラストはより鮮明になった。これが光源形状の最適化である。
マスクパターンを修正するためのシミュレーションは今後ともやはり重要な技術であると、Brion社社長のJun Ye氏は述べている。プロセスウインドウを確保するOPC技術のTachyon-OPC+という製品は、解像度以下のパターンの最適配置をプロセス条件の制限の元で行う。ラインの一部がくびれるネッキングやパターンがつながってしまうブリッジングなどの歩留まりに効くパラメータを発見できるというメリットがある。そのようなパラメータを最適化すると歩留まり向上に役立つ。
光絞り(pupil)系は、近接効果の振る舞いを決めるが、光源系よりも設計の自由度が少ないという。光絞り系の最適化は、プロセスドリフトを補正するために使われるが、まだ最適化手法を確立していない。
4番目のウェーハプレーンでの最適化については、光の照射量やアラインメント制御などをモデル化する。ここでは親会社のASML用のモデルを使う。
これらの最適化手法は共通で、まず観測するパラメータ----マスクプレーンならウェーハ形状やプロセスウインドウ----を集める。このパラメータは目標値との差となる。次に目標との差を最適化するためのアルゴリズムを実行する。その結果、制御すべきパラメータをチューニングし設定しなおす。それを最初のパラメータ収集に戻し、この作業ルーチンを繰り返す。
マスクを作成した後でも、光源・光絞り・ウェーハの3つのプレーンでチューニングは可能だとしている。