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Bluetoothの主要な機能をROMに搭載したBlueTunes ROMをCSRが開発

英CSR社は、ワイヤレスヘッドホン向けにステレオDSPを集積したBluetoothチップ、BlueTunes ROMを製品化した。この1チップBluetooth ICのROMにBluetoothのプロトコルスタックやプロファイルなどをファームウエアとして記録しておいたものである。Bluetooth機能をROMでファームウエア化したためBluetoothシステムを低価格にできる。

Bluetooth仕様としては、最高3MbpsのデータレートをカバーするBluetooth v2.1+EDRに準拠しており、ツール、セキュアシンプルリファレンスをサポートしているため、やっかいだった初期設定が簡単になる。

オーディオ機能としては、S/N比95dBの内蔵ステレオコーデックにより、SBCとMP3の圧縮形式に対応している。またステレオコーデックは、映像と音声のズレ、すなわちリップシンク問題(lip sync:映像で話している口と音声とがずれてしまう問題)を解決する機能FastStreamを搭載している。これまではBluetoothリンクのレイテンシが200ms程度あるために映像と音声のズレが気になっていたが、このFastStreamだとこのレイテンシを28〜34msまで減らしたため、そのズレは気にならなくなったという。

加えて、ノイズキャンセラ機能も付加し、マイク1個の場合はノイズを10dB低下させるが、マイク2個を使ったノイズキャンセラだと30dBも低下させることができる。マイク1個の場合にはCVC(クリヤボイスキャプチャ)と呼ぶバックグラウンドノイズ除去技術のアルゴリズムを利用した。声とノイズを聞き分けるアルゴリズムである。

またDSPも内蔵しているため、最終製品を差別化するための機能をソフトウエアで追加できる。音楽再生では5周波数帯のイコライザを搭載しており、チップユーザーが周波数特性を調整できる。ユーザーが追加したい機能や調整、通話時のビープ音などのパラメータは、外付けの16K〜64KビットEEPROMに記憶しておく。

オーディオ性能は次の通り:SN比95dB、THD+N(全高調波歪+ノイズ)は0.008%と低い。180mAhのバッテリでMP3プレーヤーを聞く場合約10時間再生できる。通話時間はCVC機能を働かせた状態で12〜16時間の連続通話が可能。

130nmCMOSプロセスで2.4GHz動作のRF回路も作っており、外付け部品点数を大幅に減らしている。RF感度は-90dB、RF送信パワーは8dBm、これまでの送受信性能よりも8dB向上したとしている。


Just one major IC


製品シリコンと開発キットは、現在サンプル出荷中で、12月から発売する予定。パッケージは8mm×8mmのQFN。価格は未定。


(2008/10/16 セミコンポータル編集室)

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