Bluetooth最新規格にGPS、FMトランシーバ機能を1チップに内蔵
Bluetooth半導体チップを設計、最大の市場シェアを誇る英国のファブレスメーカー、CSR社は、1チップのBluetooth回路の最新バージョンに、enhanced GPS、FM送受信機能を集積しながら、消費電力の増加を抑えたBlueCore7チップをサンプル出荷している。この低消費電力化は、Nokia社が提案していた低消費電力の近距離無線通信規格WibreeをBluetooth規格に導入し、Bluetooth Low Energyとして名前を変えたもの。
基本的にはWibreeのように、アクティブに送受信している状態をできるだけ短時間に行い、休止状態との比であるデューティ比を落とすことで低消費電力化を図ろうという設計思想である。Bluetooth規格は、v2.1+EDR(enhanced data rate)という最大3Mbpsのデータ伝送レートであるが、昨年発表した規格と同じ。今回はこれに低電力化を図り、さらにGPS機能とFM送受信機を集積した。
今回の高集積化により、半導体チップをWLP (ウェーハレベルパッケージング)によるCSPに収めている。CSPの大きさは3.2mm×3.6mmで外付け部品はキャパシタ7個、インダクタ1個、RFフロントエンドのバランスフィルタ1個の計9個でBluetoothやGPS、FMラジオ送受信の機能を実現できる。トータルの実装面積はわずか30mm2程度だという。
Enhanced GPS機能は、従来のGPSと比べて測位時間が短いとしている。また、携帯電話のベースバンドICの基地局からの信号を利用して、GPS信号が途切れた場合でも位置信号を測定できるという。また、FM無線のトランシーバ機能も設けているため、携帯電話をトランシーバとして利用する新しい応用も開けてくる。
90nmのシリコンCMOSプロセスで設計しており、ファウンドリ、アセンブリのメーカーはそれぞれ台湾のTSMCとASEである。チップのカスタマイズが必要なユーザーに向け、開発ツールCASIRAも用意する。
すでに携帯電話機メーカーと話し合いに入っており、今年の年末には量産する計画だ。量産時にはQFNパッケージでも提供する。このICを搭載した携帯電話機が世の中に登場するのは2009年になりそうだ。