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厚さ20μmの300mmウェーハを持ち上げられる「ピンセット」

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SiPパッケージや、MCPパッケージなど、半導体チップを薄く削り、何枚も重ねるような応用が盛んになってきているが、削るべきウェーハは200mmから300mmへと口径が大きくなり割れやすくなっている。そのような中、20μmと極端に薄い300mmウェーハを楽々と持ち運べるようなピンセットならぬウェーハホルダーが登場した。山梨県南アルプス市に本社を置くハーモテック社は、ウェーハを非接触で持ち上げる吸引式のホルダーを開発、反響を呼んでいる。

このホルダーは300mmウェーハを搭載するリング状、あるいは馬蹄形、円形のような形を持ち、割れやすいウェーハを持つのに適している。ウェーハが受ける応力は、吸着式ホルダーの1/360と桁違いに小さい。もちろん、ウェーハ搬送機にも使える。

その秘密は、ウェーハホルダーにいくつか開いている穴にある。直径1~2cmのこの丸い穴の底の横に空気孔があいており、そこを通って空気が送られるようになっている。この円筒室(キャビティ)内にドライ窒素を横から送風すると、ドライ窒素は円筒内から垂直に流れ出てくるだけだが、このキャビティにウェーハを近づけると円筒から出てくるドライ窒素はウェーハ面に沿って水平に横に流れ出ることになる。キャビティ内でのドライ窒素の流れがある程度高速なら、キャビティ内で渦を巻きその中心部では負圧になる。このため、ウェーハは吸い寄せられるというわけだ。

ただし、ウェーハは吸い寄せられてもキャビティの穴を塞いでしまうことはない。ドライ窒素が流れ出なくなってしまうからである。ドライ窒素はウェーハ面に沿ってキャビティから噴き出していく一方で、ウェーハは限りなくキャビティに吸い寄せられて近づくが決してくっついてしまうことはない。だから非接触でウェーハをピックアップできる。


SFシリーズのウェーハ保持方法


300mmウェーハを100μm以下に削るとなると、ポテトチップのように波打ってしまうが、このホルダーを使えば、ウェーハは吸い寄せられながら接触しないという状態を保つため、まっ平らになる。このKUMADEシリーズの製品には、キャビティよりも背の高い樹脂製のクッションがついており、平らになるように矯正する。

2007年12月のセミコンジャパンでは、厚さ20μmの300mmウェーハを持ち上げる実験をデモンストレーションしていたが、その後の問い合わせが相次いでいるという。チップを何層にも重ねるメモリーや、薄いフレキシブルプリント基板に搭載する液晶ドライバだけではなく、割れやすい化合物半導体ウェーハやパワーデバイス、あるいは薄く削る必要のある貫通電極ウェーハなどを扱うことができる。

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