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テクトロニクス、20GHzで4チャンネル測定できるハイエンドのオシロを発売

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テクトロニクスは、帯域幅20GHzと高周波ながら、4チャンネル同時に測定できるデジタルオシロスコープ「DPO70000Bシリーズ」およびデジタルシリアルアナライザ「DSA70000Bシリーズ」を新製品として発売した。これは、PCI Express (PCIe) やDisplayPort、HDMIなど高速インターフェースで伝送する用途に向けたもの。すなわち、デジタル家電などで動画をフルHDやさらに大型高精細画面に映し出すデジタル映像用途には、GHz帯の高速伝送が欠かせない。

最高20GHz、4チャンネルのオシロ
最高20GHz、4チャンネルのオシロ


市場のトレンドはパラレル伝送からシリアル伝送へとシフトとして来ている。電子機器をつないでビデオなどを伝送する場合、配線のお化けになるほど多数の並列配線はもはや市場に受け入れられなくなってきたからだ。並列配線をわずか2~4本のシリアル配線に換えるとつなぎ配線はすっきりする。シリアル配線にするためには高速のデータレートは不可欠。このためデータレートは、3Gbpsから6Gbps、8Gbps、12Gbpsへと高速化を続けている。しかし、高速化すればするほど、動作マージンは少なくなり、しまいには正常動作しなくなる。

オシロの帯域だけなら、最近レクロイ社も30GHzの製品を発表しているが、テクトロのオシロは4チャンネルで20GHzの帯域を持つ点が売りになっている。このため、並列レーンを多用するPCIe 3や6GbpsのSATA、USB3.0、HDMI、DisplayPortなどのテストや波形解析に威力を発揮する。各4本の独立したクロック性能や、チャンネル間のクロストーク、システム性能などを検証できる。

また、波形解析に必要なトリガリングをソフトウエアではなくPLLを利用するハードウエアで行っているため、確実にビット列を逃すことなく5Gbpsのデータをキャプチャできる。従来のソフトウエアによるデータトリガー機能では、各波形を捉えた後、見たいビットパターンを探していた。もし見つからなければ、波形を捕捉し直さなければならず見つからないまま終わってしまう。結果的に見たいビット列を探している間は空白の時間が生じてしまう。その結果、高速にシリアルに伝送されているビット列をテストできないままで終わることになる。今回のオシロではハードウエアでトリガーするため、見たいビット列をリアルタイムで観察できる。

加えて、ノイズフロアが低いという特長もある。このため有効ビット数の低下を抑えることができる。例えば、分解能8ビットの高速オシロで、6GHz〜12GHzでの有効ビット数は6ビットを確保している。


業界トップクラスの低ノイズ・フロア


テクトロは、高速オシロだけではなく、信号波形を実際に捕まえるための高速対応のプローブも提供する。P7500シリーズのTriModeプローブに4GHz、6GHz、8GHzの製品が加わり、4GHzから20GHzまでのラインアップが出そろった。特に、ファインピッチのプリント基板に見たい信号線をアクセスすることは難しいが、このTriModeシリーズはポイントツーポイントで観測点を動かすことができる。しかも、3種類の接続測定が可能である;差動モード、シングルエンドモード、コモンモードである。

ハイエンドなオシロだけに価格は安くはない。4GHzのDPO/DSA70404Bが693万円から、20GHzのDPO/DSA72004Bは1880万円から。


(2009/01/22 セミコンポータル編集室)

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