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銅線で100mの10Gbps伝送を可能にするActiveConnect技術

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カナダのGennum社が米国ラスベガスで開かれたInternational CESにおいて、100mの銅線を使い、HDMI(high definition multimedia interface)1.3規格に基づいたビデオのリアルタイム伝送をデモンストレーションしたと発表した。この技術はActiveConnectと同社は呼び、光ファイバよりも安価にビデオ伝送システムを設計できることが特長である。この技術は、HDMI 1.3規格で伝送レート10.2Gビット/秒、DisplayPort規格で10.8Gビット/秒をサポートする。

これまで、銅線で100mもの距離を10Gbpsという高速で伝送することはとてもできなかった。伝送波形が途中でなまってしまい、「1」、「0」のアイパターンがつぶれて判別できなくなってしまうためだ。これをシグナルインテグリティが崩れると言っている。送信時にプリエンファシスで信号を強調し、受信時にイコライシングして信号を抽出するのは言うまでもないが、これだけでは100mという長距離を伝送できない。

実は、ディスプレイ側で受信する時にコネクタ部分での反射信号を送信側で受け取り、次に送るべき信号の強調補正を調整しているという(同社シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのMartin Rofheart氏)。送信モジュールには、この戻り信号検出器やマルチプレクサ、ホットプラグ検出器、パワーメネジメント、差動信号増幅器などを集積している。受信モジュールは信号補正イコライザ回路などが入っている。


100mからのHD画像を受信するActiveConnect受信モジュール

100mからのHD画像を受信するActiveConnect受信モジュール


これまで10Gビット/秒Ethernetでは25m以下ではないと使えなかった。このため大量のデータを処理するデータセンターなどには導入が難しかった。このActiveConnect技術はそれが可能であるため、同社は銅線による10Gb-Ethernet市場を狙っていく。100m伝送可能なシステムは200ドル以下を目指す。

その前に、100ドルと安価なシステムで最大距離15mの銅線伝送システムを民生向けに先に出荷する計画だ。システムはActiveConnect送受信モジュールからなる。HD-DVDやHDTVなどのビデオ機器などからの信号をHDMIコネクタで受け、ActiveConnect送信モジュールから信号を送信する。ディスプレイ機器などの受信側はActiveConnect受信モジュールで受けHDMIに変換しそのコネクタからディスプレイ機器へとつなぐ。

同社のMartin Rofheart氏によると、高速のビデオ伝送システムは、これまで光伝送システムを利用する比較的高価なニッチ市場から安価な民生市場へとシフトしていることに目をつけ、この技術を開発したという。ActiveConnect技術の製品としては、電気プラグのように壁に設置するプラグや、送信・受信ボックス、信号を増幅・中継するケーブルブースタなどの製品コンセプトを考えている。

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