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SEMIのデータが示す、「半導体材料関連ビジネスは高成長分野」

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SEMIが先週、極めて興味深い発表をしている。それは半導体関係の材料が2007年に14%伸び、2008年も11%伸びると予想しているというニュースだ。2007年には半導体デバイスそのものは3%しか伸びなかったが、材料の伸びはそれをずっと上回っている。ちなみに、半導体チップの売り上げは3%増の2560億ドルに対して材料は420億ドルである。この数字がなぜ興味深いか。

実は半導体ビジネスの大きな潮流として、微細化を追求するメモリー型ビジネスと、ソフトウエアに価値を置くSoC型ビジネスに分かれてきつつある。メモリー型ビジネスでは、使用する材料がかつてのPやB、O、Nといったシリコンになじみ深い元素しか使われなかったころに比べ、今は40~50種類もの材料を使うようになった。このためさまざまな材料にとって大きなビジネスチャンスになっている。

一方のSoC型ビジネスでは、微細化を追求する代わりにソフトウエアをチップに焼きつけるわけだが、その売り上げは決して減らない。微細化しないのに着実に伸びている。ということはプロセス的にはチップを作る上に必要な材料も伸びていることになる。どちらのビジネスモデルにしても材料だけは伸び続けるのである。

このトレンドを半導体製造装置と比べてみればさらに顕著である。2007年の半導体製造装置市場が-19.6%と大きく後退した欧州でさえ、半導体材料は6.9%伸びている。北米でも製造装置が-13.4%と後退したのにもかかわらず、材料は6.8%伸びた。韓国も装置は-6.6%だったが、材料はなんと25.5%伸びた。材料メーカーにとって半導体ビジネスは、まさに高成長分野なのである。ちなみに日本では製造装置が2.1%に対して、材料は8.1%とやはり伸びは著しい。

さて、半導体チップビジネスでは、これまで多くの日本企業が歩んできた垂直統合ビジネスに対して、新たに水平分業的な会社を作るという動きが出てきた。それも垂直統合一筋のルネサステクノロジが新しいビジネスモデルに挑戦している。ルネサスとシャープ、台湾のPSCが4月1日に合弁で設立したLCDドライバのファブレス「ルネサスエスピードライバ」である。設計は同社が製造はPSCが担当し、さらにパッケージは外注へ出す。液晶ドライバというメモリー的なコモディティ製品ではあるが、この新しいビジネスモデルを見守っていきたい。

製品のニュースとして採り上げたいのは、インフィニオンテクノロジーズ社がWiMAX用に高出力のRFトランジスタを開発したというニュースである。WiMAXのベースステーションでは半径10km程度に渡って電波を届かせなければならないため、高出力のRFトランジスタが欠かせない。それもデータレートが数十Mbpsと高速であるから2.5〜2.7GHz帯で数10W以上の高出力だ。

今回インフィニオンは、二つのRF MOSパワートランジスタを製品化した。一つは最大85WのPTFA260851E/Fであり、もう一つは最大定格170WのPTFA261702Eである。代表的なゲインと効率は、前者が平均16W出力時に14dB、22%であるのに対して後者は平均32W出力時に15dB、20%である。

もう一つは、フリースケール・セミコンダクタ社のMRAMの新しい市場に向けた応用の話である。磁気抵抗の大小の差で1,0を判別するMRAMは、高集積しにくいという問題はあるが、アクセスが速くて不揮発性、という特徴を生かし自動車分野で使われている。今回ドイツのシーメンス社がフリースケールの4MビットのMRAMを産業オートメーションのタッチスクリーンに使うことを決めた。マンマシンインターフェースのタッチスクリーンをもつPLC(プログラマブルロジックコントローラ)にソフトウエアでプログラムをストアしておく。不揮発性だけに電池によるバックアップも必要ない。動作時にはコンピュータに呼び出しRAM動作させる。

最後に、富士通の携帯電話事業の責任者である佐相経営執行役とのインタビュー記事が載っており、携帯電話はパソコン同様、システム事業に不可欠だと主張しているが、三菱電機が撤退した原因となった、グローバル化への失敗を教訓としていない回答は不満であった。携帯電話機がシステムのプラットフォームになっているのは間違いない事実であるし今後もその傾向は強まると思われるが、ビジネスとしてどう海外展開していくかという点については何も触れられていない。

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