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グローバル市場への進出を強化する海外メーカー

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国際電子デバイス会議(IEDM)が米国ワシントンDCで開かれた週だけに、半導体デバイスに関する記事が多かったが、日本の半導体メーカーばかり追いかけている点が気になった。米国や欧州の最新技術は一体どうなのか、国内半導体メーカーの開発ニュースばかりを網羅している。新聞記事では焦点はほとんど相互の関連性がなく、羅列に終わっている。

World Wide Newsの中で、ユニークな記事がIBMから発表されている。32nmトランジスタのHigh-kゲート/メタルゲートは通常製造すると複雑になってしまうが、IBMとそのパートナーグループ(AMD、チャータード、フリースケール、インフィニオン、サムスン)は、メタルゲートを最初に作る簡単なプロセスを発表した。この方式のトランジスタで32nmのSRAMメモリーセルも試作している。ただし、プロセスの詳細には触れていない。

半導体技術は低消費電力化へ向かうが、消費電力の削減は環境対策の一環でもある。SOI構造により日立製作所と東京大学がリーク電流を1/10に、性能を20%高められることを実験で示したが、これだけの情報では従来のSOIとは何ら変わらない。太陽日酸はPFC排出を従来の1/3に削減できる新しいガス(C2HF5)を製品化、CVDなどの半導体装置メーカーに向けて売り出す。

IEDMでの最先端の技術発表が多い一方で、欧米企業のアジア進出強化に関する記事が多かった週でもある。Cypress社が上海にオフィスを開き、プログラマブルのミクストシグナルSoCであるpSoCデバイスの販売を強化する。SanDiskはベトナムでのフラッシュカードの販売を促進するため現地のディストリビュータを2社認定した。韓国のSamsung電子は中国で液晶生産ラインを2008年に作ることを発表した。半導体や液晶の欠陥検出分類ソフトウエアメーカーであるカナダのTriant社も台湾、中国、東南アジアをカバーするディストリビュータのKromax社と販売代理店契約を結んだ。

設計開発でも、AMDが45nmのクワッドコアプロセッサ、Shainghaiの設計作業をインドのバンガロールで行うことを明らかにした。そこのオフィスは今後、AMDのインドの一大拠点となりそうだという。

グローバル化の動きは米国から欧州へも激しい。米国のアナログLSIメーカーのMaxim Integrated Products社は欧州での販売を強化するためAvnetの販売網を利用する。

その他、市場調査会社のレポートが2件でている。1件は、自動車市場におけるLEDの需要に関するStrategy Analytics社の本で、自動車用液晶のバックライトや、エクステリヤ応用、フロントライトLEDなどの自動車用LED市場は2014年までに10億ドルに達するとみている。

もう一つは、ナノテク市場、特にディスポーザブルエレクトロニクス(使い捨て電子製品)とも言うべき、日常品に組み込まれている有機半導体デバイスなどの新材料市場について、NanoMarkets社が市場調査、このほど発表した。日常の包装やクレジットカード、価格ラベル、ゲーム機やおもちゃ、洋服、汎用医療品など低価格の分野で使われるべき印刷によるRFIDや、電子ペーパー、有機トランジスタやメモリーといった分野を指している。これらの市場は2015年までに262億ドルにも達する市場だとみている。

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