セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

ミリ波のテレビリモコンでハイビジョン壁掛けテレビが可能に

|

この週は、大容量磁気記録技術と、セミコンジャパン開幕に合わせて新しい半導体製造装置、さらにテレビとチューナの分離による壁掛けテレビ応用の3つの話題が目立った。

ハードディスクドライブを大量に並べるストレージ装置がテラバイト(10の12乗バイト)からペタバイト(10の15乗バイト)へと進みつつある。NECのRAIDストレージは、圧縮してデータを貯める方式ながら、ペタバイト級の容量を持つ巨大なストレージシステムである。3日にNECが発表した後に、磁気記録の更なる大容量技術についての記事があった。この先は、記録面をこれまでの水平面から垂直方向へと変えることで記録密度をさらに上げようとするものだ。垂直磁気記録はもともと磁気テープの時代に記録密度を上げるために東北大学の岩崎教授が提案、発明したもので、テープでは実用化されなかったが、ディスクで生かされようとしている。

12月5-7日の3日間に渡って開かれたセミコンジャパンは、出展者数、出展小間数とも史上最大の規模になったが、来場者数はほぼ昨年並みの10万9000人にとどまった。先週のニュースでは、45nmリソグラフィに向けニコンとキャノンが激突した。ニコンがスループット130枚ウェーハ/時のArFスキャナーNSR-S610Cを発表し、キヤノンはNA=1.35ときわめて高い開口率のレンズを使ったArFスキャナーFPA-7000AS7を発表した。いずれも特定顧客向けに評価マシンを出荷している。ともにASMLを追いかける。

日立ハイテクの測長SEMに使うための長さの標準器のニュースがあったが、45nmや30nm台となると原子数十個分に近づくため、長さの基準が必要になる。また、ウェーハを露光する前に位置合わせを確保するための位置合わせ精度を上げるため、リソグラフィの得意なニコンと、計測の得意なKLAテンコールが共同で、スキャナーマッチメーカーシステムを開発した。位置合わせ精度は30%上がったとしている。

最後のトピックスは、テレビリモコンの話題である。ソニーは赤外線ではなく2.4GHz帯の無線を使ったテレビリモコン、松下はテレビのGUIを活用した赤外線リモコンをテレビに導入している。この解説記事が4日にあったが、7日にはチューナとディスプレイを分離する壁掛けテレビの動きを報じた。

ディスプレイ部分を壁掛けにし、テレビチューナをそばに置きリモコンでチャネルを操作するという新しいスタイルのリコモンである。日立製作所はUWB(ultra-wideband)無線を使い160Mbpsでハイビジョン映像を飛ばし、シャープはミリ波を使って5Gbpsのハイビジョン映像を圧縮せずに伝送した。ミリ波のリモコンシステムに関する記事は、http://www.semiconportal.com/archive/editorial/technology/60ghz.htmlを参照。ミリ波リモコン技術は米国のファブレス企業であるSiBEAM社が開発している。

分析:津田建二

月別アーカイブ