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サムスンのサンディスク買収を巡る、最近の動き

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9月はじめのビッグニュースとして、サンディスクをサムスンが買収するという話題を取り上げたが、その後の続報として、サンディスクが買収提案を拒否したというニュースが先週あった。今回の買収劇の様相が少しずつ明らかになりつつある。日経4紙のニュースだけではなく、米国メディアも含めて明らかになった点をまとめて紹介しよう。

買収は9月4日にサムスンがサンディスクとの提携を考えているというメッセージの発表から始まった。サンディスクの株価は、5月中旬に33ドルを記録した後、しばらくはピークの前後を含む2ヵ月間弱の間、28ドルという値をほぼキープしていた。株価の下落は6月初旬からじわじわと始まり、7月下旬には13ドルにまで下がった。9月に入るとやや持ち直し15ドル前後を推移していたが、そこにサムスンが買収提案を仕掛けた。

買収提案の後、市場はサンディスクへの期待感が高まり、株価はじわじわと上昇する。本日9時半現在のナスダック市場(先週末現在)では、22.52ドルになっている。

株価の下落は、NANDフラッシュの作りすぎによりNANDフラッシュメーカーの株価が下がってきたことと同期している。サムスンの株価も、5月中旬に720ドルというピーク値を付けた後、じわじわと下がり始め、9月19日現在で489.26ドルにまで下がっている。サムスンの株価は9月に入り、ようやく下げ止まった感があるものの、上昇基調にはない。サンディスクの9月に入ってからの上昇は、株を買う人が多いからであり、サンディスクへの期待感が強い表れだといえる。株を買う人は東芝関係者かもしれない。市場において今は買収合戦の真っ最中とも考えられる。

サムスンはサンディスクの株価が最も安かった値の13ドルを基準にして26ドルという提案をしたが、これはどう見ても低すぎる。サムスンは、市場の2倍の株価は受け入れられると考えたようだが、最安値の2倍ではとてもリーズナブルとはいえない。安定状態での2倍ならリーズナブルだと評価されるが、市場関係者および株主は最安値を一時的のものと考えており、サンディスクのエリ・ハラリCEOが買収提案を拒否したことは納得できる。

そもそもNANDフラッシュメモリーの市場が縮小することはありえない。小型大容量ストレージの需要はまだまだある。DRAMと違って32ビットコンピュータシステムでのリミットがない。ただ、作りすぎによる一時的な在庫調整段階に入っているだけであり、在庫がはけるようになれば再び市場は活性化することは間違いない。

もし、サスムンが買収株価をつり上げて、サンディスクが買収に同意するなら、東芝としては大打撃を受けることになる。前回のニュース解説で述べたように、サンディスクはお金になる知財を持っているからだ。東芝としては、サンディスク買収や株式の大量取得以外に「攻めの経営」はありえない。株価に見合うような買収額を提示したり株式の取得に努めたり、行動に移ることこそが生き残る道になろう。

その資金調達をどう組むか、ここが思案のしどころとなる。今は東芝にとっても苦しいところ。4~9月期の見通しでは300億円の営業赤字になると日経新聞で報道されている。ここはキャッシュフロー、直近の財務状況、債務状況とメインバンクの考え次第であろう。ただし、あっと驚く資金調達の腕の見せ所、すなわちエンジニアがマジックと呼んでいるfinancial engineeringを見せられるかどうか、東芝のCFO以下、財務担当者の手腕が試されることになる。

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