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ボランティア活動を全社員に勧めるインテル、社会還元意識高める

米インテル社が最初の16ビット・マイクロプロセッサ8086を発表して以来ちょうど30年を迎え、インテルは全世界の8万5000人の社員全員に対してボランティア活動を一人当たり10時間行い、社会貢献活動に延べ100万時間を費やすという活動を始めたと、7月8日の日経産業新聞が報じている。今回のボランティア活動には、同社の事業が社会への負担を強いていることに対して社会貢献で還元しようという意味合いが込められているとしている。

ボランティア活動には温暖化対策に限らず地域の清掃や高齢者パソコン教室なども含まれているという。企業は普段から、製品やサービスを提供することで社会に貢献してはいるが、環境負荷を強いている場合などはボランティア活動を通して社会へ還元するという意識は社員にとっても極めて重要だと思う。企業の存在そのものは社会の役に立つものでなければならない上、もし環境負荷を増やしたり社会へ悪影響を及ぼす場合にはそれを打ち消すような活動をすることで、社員のモチベーションを高めるからである。

従業員の家族を企業に招いてパーティを開くという活動はさまざまな企業でよく行われているが、これは単なる社員への還元にすぎない。社員という枠をはみ出し、社会への還元という活動は社員の会社への愛着を強め、社会に役に立つ仕事をしていると胸を張って言える大きな喜びにもなる。

インテルのマイクロプロセッサが消費する熱や電力はCO2を増やす方向にある。低消費電力化はそれを減らす方向に向かう。これまでインテルのプロセッサは高性能化をクロック周波数の増大で成し遂げてきたが、この2~3年はマルチコアなどクロックを上げずに性能を上げる方法へと転換してきた。最近発表されたAtomプロセッサは1次、2次キャッシュ内蔵の高性能チップではあるが、消費電力はこれまでのインテルプロセッサよりも格段に小さく、2W程度に抑えている。基本アーキテクチャを見直し、電池駆動の携帯機器だけではなくデスクトップの組み込み機器の消費電力削減にも応用しようと狙っている。もはや低消費電力やCO2削減、環境負荷を増やさないことは企業にとってマストになる活動になりつつある。

日本企業はCO2排出量を抑えるため低消費電力化を推進している。9日の日本経済新聞によると、シャープが洞爺湖サミット会場でデモンストレーションした低消費電力の26型液晶テレビも同様な考えで従来の1/3に低電力化したという。シャープは2007年度の事業活動による温暖化ガス排出量は176万トンで、省エネ製品供給によるCO2削減への貢献は137万トンと、まだ排出量の方が大きいため、省エネ化を一段と強めている。

12日の日経新聞では三菱ケミカルホールディングスは、グループ横断でCO2削減や環境負荷削減に取り組むと報道している。

環境負荷の低減は企業にとってもはやマストになりつつある。環境対策を打つということはコストアップにつながるからやらないという考えに対して、訴訟リスクや排出物削減コストまでも考慮に入れた環境会計という考え方がかつて出ていたが、あまり普及しなかった。しかし近年、欧州のRoHS(Restriction of Hazardous Substances:有害物質に関する制限)規制やWEEE(Waste Electric and Electronic Equipment Directive)指令、さらにはアル・ゴア氏の活動、地球温暖化防止活動など、業界だけではなく社会的な活動からも地球環境を守るという活動が大きな流れとなってきた。

原油高騰に対しても、太陽電池をはじめとして代替エネルギーの開発、特にエレクトロニクス業界では太陽電池への関心が高まり、先週も住友商事や伊藤忠商事などが欧州でソーラーパークの建設を受注したというニュースがあった。太陽電池製造装置メーカーのNPCの業績は売上が20%増、純利益は25%増と増収増益であったことが伝えられた。原油の高騰により、太陽光発電コストが石油エネルギーによる電力コストと同じになる、グリッドパリティに近づく日はそう遠くない。太陽光発電の産業活動はますます活発になる。

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