セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

国産OS断念、デジタルラジオ開始、研磨シリコン粉の回収、が新しい動き

|

先週はビッグニュースというものはないが、気になる動きが3つあった。携帯電話向けの国産OS(operating system)開発の断念、デジタルラジオ放送開始を狙った企画会社の設立、ウェーハを薄く削った後に発生するシリコンのゴミからシリコンを回収するというニュース、である。エルピーダメモリの決算や中国での合弁企業について新聞は大きく取り上げていた。

国産OSを開発するために2006年松下電器産業とNECが設立したソフト会社、エスティーモを清算することを8月6日に発表した。リナックスをベースに日の丸OSの開発を目指してきたが、世界の携帯各社の急速な動きに付いていけなかったことが敗因。ノキアに買収された英シンビアンのOSがSymbian FoundationにNTTドコモが参加するなど、急速に伸びてきていることに加え、米グーグルが無償OSであるAndroidを公開、誰でも開発できる環境を作った。このような環境で国産OSはいまさら意味をなさなくなる。

二つ目の動きは、デジタルラジオ放送開始のための企画会社をTBSと文化放送、ニッポン放送など6社が共同で設立すると8月6日に発表したこと。デジタルラジオは欧州ではブームになり、CD並みの音質の良さからかなり普及している。欧州では、ラジオはテレビと違って”ナガラ族”には聞きながら家事をできることから、テレビよりも広く受け入れられていると言われている。もちろん、フルデジタルは音質が良いだけではなく、文字情報も流せる。2011年のデジタルテレビ放送全面移行に合わせて、7月にデジタルラジオ放送を始めるとしている。音質の良さから通勤電車の中でHiFi音楽を聴くことができる。

3番目の動きは、工場の排水からシリコンを回収するという装置をクラレアクアが開発したというニュースである。シリコンウェーハは、3次元ICやSiP、薄型パッケージなどの要求から、前工程で加工したウェーハを後工程の最初にウェーハ裏面を薄く削っている。300mmウェーハのハンドリングしやすさから、通常は800μm程度の厚さのウェーハを扱っているが、そのままダイシングしてチップにカットするには厚すぎて切るのに時間がかかりすぎる。SiPやMCPのようなチップを何枚も積層するパッケージだと、パッケージが厚くなってしまう。このため、100μm程度に薄く削る。フラッシュメモリーを9枚あるいは17枚重ねる応用だと、20μm程度にまで薄く削る例もある。

前処理で扱ったウェーハの90%を削り取って捨てていることになる。実にもったいない。ウェーハを削るのに用いたスラリーや砥石成分と一緒にこれまではただ捨てていた。シリコンが足りないと言われている一方で、このようなもったいないことをしている。クラレアクアのシリコン回収装置が商用化できれば、ごみとして捨てていたシリコンを生き返らせることができ、環境にもやさしい。回収したシリコンがどのグレードで使えるかは今後の検討課題であろうが、これまで無駄に捨てていたシリコンを回収できる意義は極めて大きい。商用化に期待したい。

環境関連のニュースでは、LED(発光ダイオード)照明を松下電工が2009年度をメドに日欧米で世界に展開するというニュースが8月8日にあった。米国のLED開発メーカーのCree社は色温度5000K〜10,000Kという冷白色で明るさ100ルーメンのLEDと、色温度2600K〜3700Kの暖白色で80.6ルーメンのLEDを発売したというニュースもあった。3.45mm角で高さ2mmの小型パッケージに収め、バックライトやサインボード、戸外応用などへの照明応用を狙っている。

新聞が大きく取り上げたニュースは、エルピーダメモリが中国にDRAMウェーハ工場を蘇州ベンチャー投資集団らと合弁で建設するというニュースであり、エルピーダの第1四半期決算も報告された。総額7億2000万ドルを投じて、中国の蘇州に合弁会社を設立、エルピーダはそのうち2億8000万ドル(39%)を出資する。2010年の1~3月期に300mmウェーハのパイロットラインを立ち上げる計画である。

生産のオペレーションは現地のパートナーが行うことになっているが、エルピーダはそのパートナーの名前をまだ明らかにしていない。生産能力は第一段階で4万枚/月、第二段階で8万枚/月としている。ちなみに、4~6月の第1四半期における売上は1092億円と前期比で18.8%増ながら、経常損益は154億円の赤字であるが、前期の307億円の赤字から赤字幅は圧縮している。ただし、前年同期比でみると売上は横ばい、経常損益は37億円の黒字から赤字に転落した。


分析:津田建二

月別アーカイブ