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新エネルギー、電気自動車など一大市場が大きく動き出す

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先週はエネルギー関連の動きが目立った。10月27日にオバマ大統領はITを駆使してスマートグリッド構築に向け34億ドルを政府が拠出することを表明した。一方で米国財務省は太陽光発電や風力などの再生可能エネルギーの普及に向け、関係する政府機関やエネルギー企業などに22億ドルの債権を割り当てたと発表している。米国がいよいよ環境・エネルギーに本格的に乗り出す。

日本でも新エネルギーへの動きが現れた。日本風力開発は、スマートグリッドの実証実験事業を青森県六ケ所村で2010年8月から始めると発表している。トヨタ自動車や日立製作所、パナソニック電工などが参加する。この事業は風力発電所から専用の送電線を設置し、住宅やマンション、電気自動車用充電施設などに供給、自然エネルギーだけで賄う仕組みを構築すると伝えている。戸建住宅とマンションには太陽光パネルも設置する。

菅直人副総理は民主党本部での講演において、太陽光発電の全量を電力会社が購入する「固定価格買い取り制度」を来年度にも導入する考えを示した。この買い取り制度はもともと日本が提案、経済産業省がその仕組みを1990年代後半に作ったが、欧州が日本方式を導入、さらに発展させ、太陽光発電がブームになったころ、日本では廃止した。太陽電池事業にサムスン電子も参入することを表明した。これは2020年までの目標としてサムスンが掲げ、李潤雨CEOが10月30日に発表したもの。

電気自動車や、モーターを主力に使うプラグインハイブリッド車に向けた動きも相変わらず活発だ。フランス政府は2020年までに200万台の電気自動車を普及させる計画を発表、公共駐車場など7万5000カ所に充電スタンドを設置する計画を発表した。投資額は40億ユーロ。スペイン政府は2014年までに電気自動車を100万台に増やす計画を発表した。充電スタンドの設置を急ぐ。その他、ドイツ、オランダでも充電スタンド設置計画が目白押しだ。


新エネルギー自動車


新エネルギー自動車は新しいビジネスチャンスを生む。サムスンの太陽電池事業もそうだが、米国ではベンチャー企業のフィスカー・オートモーティブがGMが閉鎖する工場を買い取り、プラグインハイブリッド車を生産する計画を発表した。2011年から日本へも輸出するという。

自動車のエネルギー源となる2次電池ビジネスも活発だ。ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの2次電池に力を入れている三洋電機はフランスのプジョーシトロエングループにハイブリッド車用のニッケル水死電池を供給すると発表した。ディーゼルのハイブリッド車に向け、出力制御も含めているという。

IHI(旧名は石川島播磨重工業)は、リチウムイオン電池に参入すると発表した。米国のベンチャーA123システムズ社からリチウムイオン電池を調達し電力供給システムに組み上げて自動車メーカーに供給する。A123はGMなど米国自動車3社からリチウムイオン電池を受注しているという。

こういったエネルギー関連のビジネスが活発になっているせいか、最新マイクロソフトが発売したOSのWindows7がかすんでいるようだ。コンピュータ業界にでは台湾勢の勢いが増している。エイサーがネットブックの売り上げ台数で世界2位に躍り出たが、ネットブックで急伸してきたアサステックも2011年にノートパソコンで世界第3位を目指すと宣言した。

ネットブックとスマートフォンが共に急伸してきたためパソコンと携帯電話との境界線は次第に薄れつつある。携帯電話トップのノキアが今年小型パソコンに参入する。Windows7を搭載したパソコンを年内に発表する予定。一方、米携帯電話大手のベライゾン・ワイヤレスはアンドロイド2.0を搭載したスマートフォンを発表した。もはやパソコンに近く、グーグルマップと連動したナビ機能を追加しており、音声案内をする。アンドロイドはOSのカーネルにリナックスを使い、ミドルウェアやアプリケーションの一部も含めた総合プラットフォーム。プロセッサにはアーム、OSはリナックスというスマートフォンやスマートブックは二つの境界をさらに曖昧にしていく。

(2009/11/02)

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