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ガートナー発表の半導体ランキング、円高でNECエレが再び10位にランクイン

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4月9日の週は日本の半導体メーカーが新年度を迎え、さほど大きな動きが少ない中で、米国の市場調査会社であるガートナーデータクェスト社が2008年世界半導体市場売上のトップランキングを発表した。半導体市場全体は、2008年の第4四半期に急速な市場の落ち込みにより、通年で5.4%減という結果に終わった。2001年以降、ずっとプラス成長だった半導体産業が08年初めてのマイナス成長に沈んだ。

トップは相変わらずインテルで、売上は338億1400万ドル(約3兆3814億円)、2位は韓国のサムスン電子の173億9100万ドル(約1兆7391億円)、3位が東芝の106億100万ドル(約1兆601億円)という結果だが、対前年比でインテルが-0.5%、サムスンは-15.0%、東芝は-10.3%というすべてマイナスとなった。このランキングは、世界の半導体メーカー275社以上の売り上げをベースにしてガートナーが求めたもの。


2008年世界半導体市場売上のトップランキング


表からもわかるように、3位の東芝と4位のテキサスインスツルメンツ、5位のSTマイクロエレクトロニクスとの差はほとんどない。ほぼ一線に並んでいるとみなしても構わない。ビジネスの仕方によっては今年2009年にこのあたりの順位の入れ替わりは十分ありうるだろう。

日本企業を見ると、東芝以外にルネサステクノロジが第7位の70億8100万ドルに、NECエレクトロニクスが第10位に入った。ルネサスは-11.5%だが、NECエレは+3.2%という結果であった。NECエレは円ベースではマイナス成長であるが、ドルベースにするとプラス成長に変わってしまった。これは為替レートが2007年に1ドル=117.76円であったのに対して2008年には1ドル=103.38円となったからである。円ドルレートは実に10%以上変わってしまった。このため円ベースでの落ち込みが10%以下であれば、ドルベースでプラスに変わってしまう。逆にいえば、ドルベースでも落ちている東芝やルネサスの2008年売上は円ベースではさらに10%下がっていると見積もることができる。

トップテンのメーカーの中で唯一ファブレスのQualcomm社が8位に入った。成長率は15.3%と唯一の2ケタ成長。ファブレスが10位以内に入ったのはこれが初めてである。垂直統合の半導体企業は惨敗だといえる。ただし、Qualcommにとっても2008年の第4四半期は不況の影響を受けているという。中期的には、CDMA技術の基本特許と基本チップを抑え、しかも3G携帯電話ではW-CDMAまでも抑えるQualcommは今後も数年は伸びてゆく可能性が高い。

先週は、台湾の半導体・液晶メーカーの受注が回復してきたため、休暇の強制取得を取りやめにするというニュースがあった。やはり在庫調整が終わり、稼働率が最悪期を脱したという見方だ。本格的な回復はまだだが、少なくとも必要以上に締め付けてきた在庫が底をついたためデバイスの受注が対前月比で増えているのが現状のようである。

一方で、太陽電池関連では受注が減速しているというニュースも入っている。4月8日の日本経済新聞は、スペインがこれまでドイツと同様、補助金により家庭での太陽電池パネル設置を推進してきたが、金融危機により補助金を縮小した。これにより太陽電池メーカーの業績も悪化していると伝えている。日本でも数年前に太陽電池パネルの補助金を廃止したとたんに、その後、太陽電池ビジネスが年率-20%で縮まってきた。太陽電池はまだ補助金頼みで市場経済ビジネスになっていないようだ。


(2009/04/13 セミコンポータル編集室)

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