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ISSCCは携帯機器ニュースで盛りだくさん

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先週は、国際半導体回路会議であるISSCC(International Solid-State Circuits Conference)がサンフランシスコで開かれたため、チップを試作したというニュースが多かった。今更、チップの試作だけで驚く半導体業界の人はいないだろうが、かつてのISSCCとは違い、ここで発表されたものが商品化されるまでの期間は短くなっている。

ただし、優れたトランジスタ1個を開発したというニュースの場合は商品化までの期間は長く、商品化されない可能性も高い。

新しい技術発表の1週間を眺めていると、やはりモバイル技術や、それに関係する技術のニュースが多い。回路線幅の微細化により180nm以降ではCMOSでGHzバンドのRFチップを作れるようになっている。東芝とNECがワンセグの地デジや、電話、電子マネーなどの周波数帯の違う回路を1チップでカバーするという半導体チップをISSCCで発表している。これはRF部分をいくつか集積したものか、ソフトウエアで周波数をサーチしながら自動的に周波数に合わせるものなのかはこの新聞情報だけではわからない。米インテル社も同様にWiMAXとWiFiのRF回路を1チップに集積したICを発表している。WiMAXは数kmに渡って高速の無線通信を行う技術規格で、インテルが進めている。

インテルとマイクロンが、高速のNANDフラッシュを開発したというニュースもある。読み出しが200MB/s、書き込みも100MB/sと、速い。携帯機器でビデオを見るのにもってこいのデバイスである。携帯機器とNANDフラッシュとはもはや切っても切り離せない重要な応用になっている。さらに、携帯機器にはいろいろな機能を搭載してしまおうというコンバージェンスの流れもある。NANDの将来性はもはやゆるぎなくなった。

一例として、オランダのフィリップスから独立したNXPが3GベースバンドとGPS(ナビゲーション)機能を1チップに集積した半導体製品を開発、コンバージェンスの流れに乗る携帯電話の安価なソリューションとしての応用を開いていく。実はもっと大きなビジネスニュースとして、韓国のサムスンがNXPを3Gのチップセット供給メーカーの1社として認定するという記事がある。モトローラを抜いて世界2位の携帯電話メーカーになったサムスンに食い込むことができたため、これは極めて大きなビジネスとなる。

携帯機器で映像を見ようとすると、どうしても高速のメモリーが必要となる。ランバスがIEC(International Engineering Consortium)のDesignVision賞を受賞したというニュースはあるが、これも最大8GB/sのXDR規格を実現できるDRAMメモリーである。もちろん今すぐ携帯機器に使うというよりもまず据え置き型のフルHDTVを見る用途が最初であろうが、高精細の映像はいずれ携帯機器に降りてくる。

インテルはやはりコンピュータチップにも相変わらず力を入れており、45nmへの急速なシフトを進めている。最近発表された45nmのPenrynに対して、65nmのコア2デュオであるプロセッサMeromの生産を中止すると発表している。ただし、米国内のうわさでは、チップの出荷が遅れているとも聞いている。詳細は不明。

インテルとSTマイクロエレクトロニクスは相変化メモリーをサンプル出荷したと発表した。この技術の詳細は不明だが、ISSCCでは相変化メモリーのマルチビット/セル技術について発表もしている。サンプル出荷したメモリーと同じ技術かどうかはわからない。

分析:津田建二

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