セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

DRAMビジネスから太陽電池、UWBチップなどへ展開

|

DRAMメモリー価格がそろそろ底を打ち始めたというように新聞のトーンが変わってきている中で、DRAM各社の業績が発表された。いずれも赤字に転落し、トップを走るサムスンでさえ、NANDフラッシュは黒字だがDRAMは赤字だと言われている。ということはすべてのDRAMメーカーが赤字になっても作り続けていることになる。DRAMメーカーの脱DRAM模索事例を紹介しよう。

そのサムスン電子の半導体部門は1〜3月期の営業利益が200億円程度とピーク時の1/10に落ち込んだという。ハイニックスの半導体はNANDも含めて、同期約500億円の赤字になっている。エルピーダはDRAMだけではなくファウンドリビジネスにも手を広げることで営業利益を生み出そうとしているが、どのロジックかはまだ明らかではない。先週新たにドイツのQimondaと中国のSMICが脱DRAMビジネスを打ち出した。

Qimondaは、ドイツの太陽電池パネルメーカーCentrosolar Groupと合弁で、太陽電池セルを生産する企業を設立することになった。合弁メーカーはCentrosolarが49%、Qimondaは51%という出資比率で、シリコンベースの太陽電池を生産する。Centrosolar社は太陽電池パネルの製造、販売を手掛けているが、太陽電池セルそのものは作っていない。両社の合弁工場は、ポルトガルのヴィラドコンデにあるQimondaの敷地内に設立し、2009年までに7000万ユーロを投資する計画だ。

エルピーダとQimondaからDRAM生産を請け負っていたファウンドリのSMICがDRAMビジネスから撤退することを発表した。ほぼ同時に、SMICは香港の半導体研究所であるASTRI(Applied Science and Technology Research Institute)と共同で、ワイヤレスUWB(Ultra Wide Band)のMAC(media access control)層ICをSMICの130nmミクストシグナルCMOS技術で設計製造することを発表している。SMICのRFグループが設計サポートとミクストシグナルRFICオープンラボサービスを行う。

WiMedia規格に準拠するこのワイヤレスUWBチップは、最大480Mbpsのデータレートをサポートし、32ビットPCI 2.2ホストバスインターフェースを備える。このASICの開発キットも提供し、ミニPCIカードのリファレンスデザインとソフトIPコアがつく。

インテルの携帯機器向けマイクロプロセッサであるAtomが日本国内でも発表された。Atom技術は、「半導体チップが言葉の不自由な人を救う」を参照。新聞記事では、携帯ネット端末と、低価格パソコン、家電、その他組み込み、という4つの市場をターゲットしているとあるが、インテルの狙いはもちろん携帯用パソコンだ。ただし、携帯パソコンといっても低価格とは限らない。携帯ネット端末は20万円以上の価格帯になりそうだ。

ただし、低価格パソコン向けにはかなり多くの数量が期待される。特に、中国やインドの市場が大きい。パソコンメーカーのHPとデルは、今年、携帯パソコンを発売する。インドの低価格パソコン市場には米国の2社が参入する。デルは、8.9インチの液晶を搭載したラップトップを499ドルで発売する計画だ。台湾のCompal ElectronicsがOEM生産する。HPはミニノートPCを教育分野向けに499ドル以上で間もなく発売する予定である。

米国勢だけではない。台湾のASUS社が昨年暮れに全世界で発売した低価格パソコンEeeは販売台数100万台を突破したという。同社は今年初めにインド市場へ7インチ品2機種をそれぞれ350ドル、450ドルで販売している。ASUSの狙いは子供向けとパソコン初心者向けで、そのパソコンにはインターネット接続と簡単なマルチメディア機能を搭載している。インドの地場メーカーのHCL社は、今年の1月にウルトラモバイルパソコンMiLeapを発売した。Linux版で350ドル弱の価格である。最近Windows XP版も発売したが価格は425ドル程度。最も安いWindows XPモデルだという。

面白いチップとしては、ヤマハがMEMS技術によるシリコンマイクの増産に20億円を投資するというニュースがあった。携帯電話機用だが、楽器メーカーにとって超小型のマイクロフォンをさまざまな楽器に取り付けることができるため、新しい音楽体験が期待される。

分析:津田建二

月別アーカイブ