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ビッグニュースはAppleが買収を仕掛ける、その狙いは?

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先週は、半導体各社から決算発表があった。NECエレクトロニクスはようやく50億円という利益を計上したが、研究開発費を抑えてぎりぎりでひねり出したといわれる黒字であり、売り上げは予想値よりも減少しており健全な経営状態とはまだ遠い。エルピーダは2004年11月の株式上場以来初めてという赤字250億円を計上した。DRAMの値下げ合戦の影響が大きい。決算発表は各紙に任せるとして、実は海外でAppleがらみのビッグニュースがあった。

これまで企業買収をしたことのないApple社が、新興半導体メーカーのP.A. Semiを買収したとメディアに報じられた。P.A. Semiは、知る人ぞ知る、かつてDEC社にてAlphaチップやStrongARMプロセッサチップを設計した天才デザイナーであるDan Dobberpuhl氏が設立したプロセッサベンチャー企業である。

実は、この記事の真相はまだ明らかではない。うわさの段階でもある。P.A. SemiのPは、IBM社のPowerPCアーキテクチャをライセンスで受けてそれを元に新しいプロセッサを開発してきたという経緯がある。ところが、AppleのiPodはPowerPCではなくARMプロセッサコアをベースに作られている。AppleがPowerPC欲しさにPA Semiを買収して、携帯機器を設計・生産するとは思えない。だからこそ、Appleはサーバー分野に進出すると見ているアナリストもいる。ちなみにP.A. Semiが最近発表したプロセッサチップは、64ビットアーキテクチャで、2GHzクロック、消費電力5〜13Wのデュアルコアである。これがiPodに載るわけがない。

2番目に重要なニュースは、米国半導体工業会(SIA)が偽物部品を撲滅するためにまともな販売業者(authorized distributors)のリストをディレクトリとして発表したことである。電子機器メーカーが購入する部品に偽物が混じっていて信用を傷つけてしまうリスクを和らげるためにも、まともなディストリビュータのリストは欠かせない。SIAのジョージ・スカリー会長によると、「米国およびEUの税関で没収したICや情報通信部品は36万点にも上る。こういった偽物は、半導体メーカーだけではなく電子機器メーカー、ひいては消費者までもが迷惑を被ることになる」という。

SIAは米国や欧州EUの税関と協力して情報収集に当たり、さらにはSEMIとも協力して、今後は部品の箱やコンテナーの外側に認定マークを張ることを検討している。消費者は、偽物部品には注意もお金も払わないだろうが、高速とうたっているのに低速品あるいは不良品を掴まされることが十分ありうる。

見逃せない、もう一つの海外ニュースを紹介しよう。Intel社がWiMAXの普及を狙い今後5年間に台湾に5億ドルを投資する。WiMAXは、Intelが推進する、データレート数10Mbps程度で数10kmをカバーする高速の無線通信網。Wi-Fiのような高速無線だが、近距離のWi-Fiネットワークを拡大して遠距離まで使えるようにするのがWiMAXだ。WiMAXは技術的にはまだ問題山積しているが、ここ2年くらいの急速な技術進歩がWiMAXの実用化を夢から期待へと変え始めている。

Intel社のWiMAXプロジェクトのマネージングディレクタのLi Mohan氏は、「米国では今年の第2四半期か第3四半期にWiMAXが商用化になる。アジアでは2009年〜2010年までに(商用化の)準備が整うだろう。アジアではおそらく日本が最初に立ち上げるだろう。これまで大量の資金を投入しているからだ」と見ている。

日本では、3Gネットワークがすでに出来上がっており、WiMAXの必要性については疑問視する声もある。3GからHSDPA(3.5G)やLTE(3.9G)などへのシフトに関しても開発が進み、3Gの延長で高速無線ネットワークの構築はシームレスでスムーズに移行できる環境にはある。しかし、もし数年後に世界がWiMAXを標準にし、HSDPAやLTEなどを捨ててしまうなら、日本は世界から取り残されてしまうことになる。そうならないようにするためにWiMAXを研究し続けることは重要である。


分析:津田建二

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