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テレビ向け液晶パネルのメーカーグループが3つに集約

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先週の大きなニュースは、薄型ディスプレイ分野における業界再編であろう。簡単にこのニュースを解説するとともに、見逃したかもしれない英文のNewsEdgeから日本の新聞には載っていないが、業界関係者には興味をそそるニュースをピックアップする。

東芝はグループ企業に、液晶ディスプレイを生産していた東芝松下ディスプレイテクノロジーを持っており、さらに日立の関連開会社であるIPSアルファテクノロジー(日立、松下、東芝が主な出資企業)にも15%出資している。この中で今回、東芝はシャープと液晶パネルの調達、東芝からは液晶用LSIをシャープに供給するという提携を結んだ。

日本経済新聞ではこの報道をテレビ用パネル市場は、「シャープ+東芝+パイオニア」、「松下+日立+キヤノン」、「ソニー+サスムン電子」の3グループに集約されるとの見方を示している。この記事では、東芝松下ディスプレイテクノロジーの行方については全く触れていない。モバイルPCや携帯機器への応用を狙った液晶パネルのメーカーであるためテレビ用とは関係ないとみているのかもしれない。

やはり12月21日のニュースに掲載された、JEITAによる民生用電子機器の実績統計を見ると、11月の国内出荷額は前年同月比で12.9%も伸びた。けん引していたのは薄型テレビとのことであるが、金額ベースの統計数字はなく、台数ベースでは液晶テレビが40.3%の伸びを示したのに対して、プラズマテレビは15.5%にとどまった。液晶テレビの大型化がプラズマの領域にまで進出してきたため、プラズマ中心の松下といえども液晶に力を入れてきている。

今回の東芝の松下グループ離脱は東芝のテレビ部門にとっては液晶パネルの入手確保であるが、半導体部門にとっては液晶用LSIの供給先確保という意味がある。液晶用LSIを作っているメーカーにとっては脅威になるかもしれない。業界再編というとらえ方だけだと、もうこの分野は価格競争だけで技術革新とは無縁の産業になりつつあることになるが、果たしてその行方はどうなるか。

意外と見逃せないニュースは、ソニーがタッチパネル内蔵の液晶ディスプレイを開発したという12月20日のニュースだ。タッチスクリーンはこれから成長が見込まれる商品で、米アップル社のiPhoneの衝撃は、携帯電話メーカーをタッチスクリーンを使った新製品開発に向かわせている。日本の携帯電話機メーカーはiPhoneよりも一歩進んだ仕様を開発しており、早ければ2008年にもiPhoneのようなタッチスクリーンの携帯電話機が日本でも登場する。12月19日には、米3M社の子会社でタッチスクリーンを製造している3M Touch Systems社が北米ディストリビュータとしてAll American Semiconductor社を認定してというニュースがあった。

電子部品のディストリビュータとして、数年前に日本法人を設立したAvnet社が設立50周年を迎えた(12/17)。やはり全米大手のディストリビュータArrow Electronics社がDelta Electronics社とDC-DCコンバータを販売することになった(12/17)。

半導体プロセスでは、TSMCが32nmプロセスで、デジタル信号回路、アナログ回路、メモリーを形成する技術を開発したと発表した。ファウンドリとして、こういったLSI回路を製造できることをアピールして32nmプロセスの顧客を囲い込むという狙いだ。ファウンドリは単なる設計会社の下請けではない。設計データをいくら作ってもそれをシリコンに焼き付ける能力がなくてはファウンドリビジネスは成り立たない。このためには設計データからマスクを作る能力、シミュレーションで設計データを検証できる能力、シリコンにパターンを描ける能力、シリコンを間違いなく動作させる能力、をすべてそろえなくてはファウンドリ事業はできない。設計会社と同じ能力が必要なのだ。TSMCは少なくともデジタル信号、アナログ、メモリーの3つの回路は製造できることを実証したわけだ。

やはり12月20日にIBMグループ(AMD、Chartered、Freescale、Infineon、Samsung)が32nmプロセスを開発したというニュースがあったが、これはHigh-k/ゲートメタルのプロセスを開発しただけのニュースで、TSMCの発表とは違い、使える回路での実証には触れていない。

アナログ回路やRF回路のようなシミュレーションが難しい回路シミュレータは、ベンチャー企業がニッチ市場として確保している。フラッシュメモリーのSpansion社がMCP(マルチチップモジュール)用の動作シミュレータとしてBerkeley Design Automation社の製品を採用したというニュースでは、142個のインダクタを含むシミュレータは他になかったためだとSpansion社が述べている。AMD社がMagma Design Automation社の製品を採用したニュースでもその理由を、確度が高く、計算速度も15倍速いためだとAMDは見ている。東芝がRambus社のXDR技術をライセンス購入したというニュースも12月19日にあった。HDTV用に4.8Gbpsと広いバンド幅が必要になるためである。

変わった海外ニュースでは、ドイツのファブレスSilicon Line社がベンチャーキャピタルから出資を受けたという(12/21)。このベンチャーは携帯機器向けに光伝送するため低消費電力の物理層LSIを開発する。携帯機器向けの光伝送インターフェースとは何を指しているのか、わかる方がおられたらご意見をいただきたい。IMECとも関係があるという。ミクストシグナルLSIでは米ChipX社がスタンダードセルとストラクチャードASICを組み合わせたHybrid ASICという製品を発表している(12/20)。ストラクチャードASICそのものは最近では見捨てられており、ミクストシグナル用途ではこの先どうなるか、見続けたい。

新規参入製品では、日本のノリタケが太陽電池の電極焼成炉を2008年1月に発売すると発表している(12/19)。瀬戸物や陶磁器製作で有名なノリタケが炉、それも太陽電池の電極焼成炉の分野に進出してきた。


分析:津田建二

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