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自動車向け半導体は快走するも、産業用が23年10〜12月期は不調

先週も2023年10〜12月期の決算発表が相次ぎ、ルネサス、Infineon、キオクシア、東京エレクトロンなどから発表があった。自動車・産業向けについてルネサスとInfineonが対照的な結果で、この四半期ではルネサスはまずまずだが、Infineonが大きく落ち込んだ。キオクシアは赤字だったが、回復の兆しが見えてきた。また東京エレクトロンも明るさを見せてきた。

ルネサスの決算期は、米国2企業を買収してからカレンダー年すなわち1〜12月期に変わった。世界的な企業の決算期として1〜12月が多いからだ。この第4四半期(4Q)における売上額は、前年同期比7.5%減、前四半期比4.6%減の3619億円となった。ただし、コストカットや稼働率を下げ、単価の値上げなどによって、(売上額に対する)営業利益率は31.9%の1155億円を確保した。ルネサスは、19年ぶりに配当を復活させた。


前工程稼働率 四半期推移 / ルネサスエレクトロニクス

図1 ルネサスの工場稼働率 出典:ルネサスエレクトロニクス

昨今のカーエレクトロニクスブームによって自動車向けが好調で、その部門売上額は、前年同期比、前期比ともそれぞれ6.8%増、2.7%増のプラス成長の1811億円となったものの、産業・インフラ・IoT部門が不調でそれぞれ18.4%減、11%減の1787億円となった。これまで、ルネサスは自動車用の売り上げよりも産業用の売り上げの方が多く、今期初めて逆転した。逆に、産業向けが大きく凹んだが、これはルネサスの経営が云々というより産業機器・インフラ・IoTの景気が第4四半期になって冷え込んだためである。その根拠は、自動車と産業機器で最大手のInfineon Technologiesの決算結果によく表れている。

Infineonは、欧州中央時間2月6日に2024年度1Q(2023年10〜12月期)の決算を発表したが、売上額は前年同期比、前期比それぞれ11%減、6%減というマイナス成長の37.02億ユーロ(1ユーロ=1.05ドル)であった。営業利益率は22.4%という健全な数字を確保した。

売上額の過半数を占める自動車向けが四半期連続20億ユーロ以上を確保しており、今期も20.85億ユーロであったが、前年同期比11%増、前期比4%減という結果で推移している。それ以外の部門はグリーン産業パワー部門(産業用モーターや脱炭素関連)がそれぞれ同3%減、同16%減で、パワー&センサシステム部門(スマホなど民生のMOSFETやセンサ)が同27%減、同16%減と大きく凹んだ。もう一つのコネクテッドセキュアシステム部門(民生、コンピュート、通信、IoT)も同31%減、26%減と最大の下落を示した。これらの部門を見る限り、民生関係の落ち込みがひどいようだ。

次の四半期(1〜3月期)も36億ユーロと、ほぼ同額の売上額を見込んでいる。ただし、通常1〜3月期は季節的に前四半期よりも10%程度落ちるのだが、この程度で収まっていることはそろそろ回復基調に入るということになる。通年の2024年度は160億±5億ユーロを見込んでいる。ちなみに2023年度は163億ユーロ(171億ドル)であった。

2023年10〜12月期におけるキオクシアの売上額は、前年同期比5.8%減、前四半期比8.5%増の2620億円であった。営業利益はまだ650億円の赤字だが、前四半期よりも358億円、前年同期よりも283億円の赤字額が低減した。生産削減などが奏功し、販売単価は前四半期よりも10%台前半上昇した。ただし、増収要因には円安の影響もあるとしている。

半導体メーカーの生産削減により、製造装置メーカーはマイナスの影響を受けているが、東京エレクトロンは中国向け製造装置の比率を46.9%とこれまでの最大限に上げることで収益を確保した。10~12月期の売上額は、前年同期比0.9%減、前四半期比8.4%増の4636億円となった。営業利益率も28.6%の1324億円とした。

2月15日13:30から開催するSPIマーケットセミナー「2024年の世界半導体市場、回復へのシナリオ」で紹介するが、中国における半導体産業がここ数カ月急速に回復しつつある。

(2024/02/13)
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