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Intel決算、23年4Q黒字に転換、ニューメキシコ新工場、UMCとの提携で活発

先週は、米Intelが立て続けに発表した週だった。2023年第4四半期(10〜12月)の業績を発表、久しぶりに前年同期比プラス10%増を明らかにした。米ニューメキシコ州リオランチョの先端パッケージ工場を公開した。さらに台湾UMCと12nmプロセスに関する業務提携を発表した。

日本経済新聞は26日の夕刊で黒字に転換したと報じたにとどまり、NvidiaとAMDのような派手さはIntelにはない。しかし、IntelのAI Everywhere 戦略は生成AI以上に市場のすそ野を広げる可能性がある。AIの学習が手元のエッジ(パソコンやスマホなどの端末)で出来るようになってきたからだ。クラウド上でのAIの学習が進み、手元では学習結果をダウンロードした上で、追加学習によりカスタマイズが楽にできるようになったと同時に、AI専用回路(IP)をチップ上に集積するようになった。

第4四半期(4Q)におけるIntelの売上額は、前年同期比10%増の156億600万ドルとなり、8四半期ぶりに増収に回復した。これまで、じわじわ下落し続けてきたが、2021年にCEOの座に就いたPat Gelsingerの投資戦略がようやく実を結びつつある。1年前の営業利益率(売上額に対する営業利益の割合)-8.1%の赤字だったが、今期のそれは16.8%の黒字となった。

2023年間では、前年度比14%減の542億ドルとなった。その内訳は、クライエントコンピューティング(パソコンなど)部門は同8%減の293億ドル、データセンター&AI(サーバなど)部門は同20%減の155億ドル、ネットワーク&エッジ(IoTなど)部門は同31%減の58億ドル、と減少が続いているが、モービルアイ(クルマ)部門は同11%増の21億ドル、IFS(ファウンドリ)部門は同103%増の9.52億ドルとなった。

相変わらずパソコンやサーバ向けでは大きなマイナスが続いているが、第4四半期だけを見ると1年前に対してマイナスの度合いが減少し回復基調になる。例えばクライエント部門では前年同期比33%増、データセンター部門は同10%減、ネットワーク部門は24%減となっており、減少幅が減ってきている。

プロセスのオレゴン工場では、18Å(オングストローム)プロセスを狙ったIntel 18A向けに高NAのEUV装置を設置し始めており、23年には4社の顧客からデザインを受注したとしている。すでに75の企業やエコシステムのテストチップのテープアウトを終えており、24〜25年にかけて50のテストチップを続々提供していくという。


ニューメキシコ工場 / Intel

図1 オープンしたというが建設が続いているニューメキシコ工場 出典:Intel


オープンしたニューメキシコ工場Fab 9(図1)では、Fevorosと呼ばれる3D-ICやチップレットをアセンブリする。これまで35億ドルを投資して来ており、Fab 9が米国最初の先端パッケージの量産工場となる。Fevoros技術だけではなく、チップ同士を接続するブリッジとなるEMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)技術も量産化する。この第4四半期には先端パッケージで3つの設計を受注(デザインウィン)している。

Intelはさらに12nmプロセスプラットフォームでUMCと共同利用することを発表した。UMCは最も微細なプロセスが22nmであるため、Intelの工場を利用して12nmプロセスに対応する。12nmプロエスではUMCとして初めてのFinFETプロセスを使うことになる。12nmのFinFETを経験していると、次の7nmや5nmプロセスにも連続してつなげられる。Intelにとっても先端プロセスだけではなく、12nmプロセスのファウンドリ市場を広げられるというメリットがある。通信インフラやネットワーク機器などに加え、モバイルにも向けるとしている。12nmプロセスノードは、Intelのオレゴン工場のFab 12とFab 22、Fab 32を利用する。PDK(プロセス開発キット)を揃え、設計支援を行い、2027年に12nmプロセスの生産を開始する。IFSはファウンドリ顧客向けのイベントをサンノゼで2月21日に開催する予定だ。

(2024/01/29)
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