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Applied Materials、東京エレクトロン、Lam決算報告から見える回復傾向

ここ1〜2週間でApplied Materialsと東京エレクトロンら製造装置メーカーの決算発表が行われた。共に地域別では中国売上が最も多く、中国市場で稼いだという構図がよく見える。また減収減益だが、製造装置は共に底のようで、回復の兆しは見えている。半導体投資は2023年を通せば4年ぶりの減額だが、24年は回復するだろう。

Gary Dickerson / Applied Materials, Inc.

図1 Applied Materialsの決算発表資料 出典:Applied Materials, Inc.


8月18日、AMATが2023年5〜7月期の決算を発表した。売上額は前年同期比1.5%減の64億2500万ドルとなったものの、中古装置やメンテナンスなどのサービス収入が同3.1%増の14億6400万ドルとなった。中核の半導体製造装置の販売額は1.3%減の46億7600万ドルだった。最も悪かったのは、ディスプレイとその関連部品部門で、同29%減の2.35億ドルにとどまった。

10日には東京エレクトロンの2023年4〜6月期の発表もあった。売上額は同17.3%減の3917億円、営業利益率は3.8%ポイント下がったものの21%を確保した。半導体製造装置販売額は19.5%減の2871億円、サービス収入は8.5%減の1002億円となっている。

両社とも中国向けの製造装置で大きく稼いでおり、AMATは全売り上げの27%に相当する17億3400万ドルを中国から稼いでおり、TELは同39.3%に当たる1539億円を稼いでいる。ここに米国の中国向け輸出制限が加わるとより一層厳しくなりそうだ。

また円安は日本企業の国際競争力を大きく毀損させている。現在は1ドル145円の超円安時代だから、TELの売上額はドルベースでわずか27億ドルしかなくなってしまう。TELと3位争いを演じていたLam Researchは4〜6月期に32.1億ドル売り上げたため、大きく差がついてしまった。

これら3社の次の四半期見通しは、今期よりは上がっている。AMATが8〜10月期65.1億±4億ドル、Lamは7〜9月期34億±3億ドルと予想しており、共に現四半期よりは上に見ている。TELも4〜9月の見通し7900億円を変えていないため、7〜9月期は3983億円を見込んでいることになる。ドルベースでは27.5億ドルになる。

8月21日の日本経済新聞は、「半導体投資、4年ぶり減 誘致競争で過剰懸念、・・・」という見出しの記事を1面トップで紹介したものの、2023年の半導体投資が前年比16%減と表現したが、SEMIも同様に半導体製造装置市場を前年比18.8%減の764.3億ドルと予想している。ただし、24年は2桁成長で回復するとしている。19日の日経ではAMATやLamの見通しを紹介し、「売上高は底入れの兆し」と表現した。

半導体装置メーカーのテクノロジー別では、AMATはファウンドリとロジック向け装置売上額が79%(前年同期66%)、DRAM向け17%(同15%)、フラッシュ向け4%(同19%)として、Lamはロジック・ファウンドリ向け73%、DRAM9%、不揮発性18%となっている。TELはロジック・ファウンドリ向け70%、DRAM16%、不揮発性14%となっている。AMATがフラッシュ向けからロジック・ファウンドリ向けに素早く切り替えたことで1%減に留まったようだ。

半導体製造装置だけではなく半導体チップ製品そのものの売上額も底を脱し、シリコンウェーハの売り上げも第2四半期から回復傾向が見えていることをセミコンポータルは伝えてきたが、半導体材料も底を脱し、回復傾向にあることを、21日の日刊工業新聞が報じている。レゾナックの4〜6月(2Q)の販売数量が前四半期比で改善、半導体封止材料の住友ベークライトの売り上げも2Qは上がってきている。

3Qには昨年落ちた分、回復することは間違いない。さらに11月以降、半導体市場が大きく落ち込んだ分、4Qは大きな回復を見せるだろう。詳しくは8月23日のSPIマーケットセミナー「世界半導体市場、2023年後半から1年はどうなるか」で紹介する。

(2023/08/21)
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