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メモリは2023年第2四半期も悲惨だが、光明も見えた

Samsung、SK Hynixの2023年第2四半期(2Q)決算が発表になった。それぞれ営業損益は、4兆3600億ウォン、2兆8820億ウォンの大幅な赤字となった。メモリはファウンドリと比べるとキズは深い。逆に好調なときはファウンドリより利益が大きい。また近い将来、SEMICON Indiaが開催されそうになってきた。その準備が進んでいる。

図1 Samsung本社ビル 出典:Samsung Electronics

図1 Samsung本社ビル 出典:Samsung Electronics


メモリのトップ2社SamsungとSK Hynixの2023年2Qにおける決算報告が発表された。Samsungの売上額は14兆7300億ウォン(1ウォン=0.11円)となり、前年同期比(YoY)で48%減と大幅な減収になったが、前四半期比(QoQ)で7%増となり、売上額の底は1Qであり、少しずつだが上向きになった。営業損益は4兆3600億ウォンの赤字だが、2200億ウォンだけ赤字幅が減少した。

Samsungはメモリと非メモリ製品を扱っており、今回はメモリ以外の売り上げが全売上額の39%まで占めるようになった。メモリ売上額は8兆9700億ウォン、非メモリの売上額は5兆7600億ウォンとなっている。非メモリ製品にはCMOSセンサやディスプレイドライバ、スマホ事業部向けのアプリケーションプロセッサ、ファウンドリサービスなどを含んでいる。メモリだけの売上額はQoQで1%増、YoYでは57%減と大きな減収だが、底から少しずつ上がりだしている。

メモリ2位のSK Hynixの売上額は7兆3060億ウォン、営業損益が2兆8820億ウォンの赤字、純損益2兆9880億ウォンと大幅な赤字が続いた。しかし、赤字幅は1Qと比べ15%縮小している。また、売上額はYoYでは47%減と大幅な収入減少だが、QoQでは44%のプラスとなった。底の1Qから脱出しつつある。その要因は、生成AI向けのDRAMメモリの需要が大きく、DRAMダイを多数スタックしたHBM3とDDR5の販売が急増したためだとしている。HBM技術ではHynixはトップシェアを行っている。

HynixはNANDの利益率が低いため、設備投資額を半分にするが、高集積のDDR5とHBM3の生産能力を上げるための設備投資は増やすとしている。

円安の影響は日本企業をますます弱体化している。ルネサスエレクトロニクスの2Qの決算報告では、売上額はYoYで2.2%減の3687億円だったが、QoQでは2.5%増となっている。

円安(1ドル=146円と計算)の影響を見るため、ドルで表すと売上額はYoYが8%減となり、減少幅が大きくなった。2022年の第2四半期は1ドル=134円としていたため、円安は国際競争力を失わせる結果となっている。また、QoQでの伸びもわずか0.8%増しかなくなった。1Qでは1ドル=142円で計算していた。

米中貿易摩擦により、米国側は西側諸国のサプライチェーンを構築するため、中国からインドへと流れつつある。半導体製造装置・材料の展示会であるSEMICONショーがインドでも開催される見通しが出てきた。SEMIは、インドにおける半導体製造と設計のエコシステムを構築するため、インドの半導体製造を確立するための組織ISM(India Semiconductor Mission)をサポートすることを明らかにした。このコラボレーション組織ISMはSEMICON Indiaを成功させるための組織であり、世界的な半導体エコシステムをインドにももたらすこと表明している。

SEMICON Indiaが開催されるようになれば、インド政府が進めてきた国内半導体製造のエコシステムと世界の半導体関連業界とつなぐようになる、とISMは期待する。これまでインドでは政府が国内の半導体製造の立ち上げを叫んできたが、民間が対応できなかった。インドでは昔から半導体設計は強かったが、製造は全く弱く何も組織ができなかった。ISMが主導する、設計から製造、パッケージング、研究開発までの産業育成をSEMIは歓迎している。SEMIと話し合っているインド電子工業会ELCINA(Electronic Industries Association of India)は、半導体産業こそが電子システムの設計と製造のエコシステムの中心であると述べている。

(2023/07/31)
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