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デリスキングを強め、結束し始めた日米欧

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日米欧の政府関係が半導体サプライチェーンの確立を目指している。日米欧の経済安全保障である。EU(欧州連合)の首脳会議では対中国を念頭にした経済安保を重視する方針が示された。オランダ政府も9月から半導体製造装置の輸出規制を強めると発表した。対中国を念頭にしたデリスキング(De-risking:リスク低減)が強まりつつある。

EU議会ビル

図1 EU議会 出典:EUのホームページ


首脳会議は6月30日に閉幕した。EU(図1)のフォン・デア・ライエン欧州委員長は、中国が日本に対してレアアースの輸出停止した事例を上げ、強い警戒を3月での講演で示していた。これを受けて、中国との関係に関する新たな方針文書では、レアアース(希土類)など重要物資の中国への過度な依存を減らすことを掲げた。リチウムイオンは電気自動車(EV)のバッテリに使われるため、大量のリチウムが必要になる。首脳会議を報じた7月2日の日本経済新聞によると、加盟国はリチウムの供給のほとんどを中国に頼っているという。

6月29日の日経によると、首脳会議で今回は、「台湾海峡の緊張の高まりを懸念する」と記し、「力や威圧による、いかなる一方的な現状変更の試みにも反対する」と強調した。経済的な威圧に脅かされない、安定したサプライチェーン(供給網)の構築に向けてデリスキングを進めるとした。ただし、中国を「パートナーであると同時に競争相手であり、体制上のライバルでもある」と位置づけている。

日本政府はEUとの情報共有を始める、と6月29日の日経は報じた。企業への補助金の支給要件、支給の理由や金額、誘致による域内の需給見通しなどの情報を共有する。企業への補助金は、米国でのCHIPs法案の制定から始まり、日本版もEU版も同様な法案が議会を通過した。日米欧ともCHIPs法案で民間投資を後通しする。米国とは頻繁に情報を交換している日本だが、EUとの政府間アクセスは意外と遠い。しかし、情報交換を頻繁に行っていれば、有事の際、どの国でどういった半導体を生産すれば必要な量を確保できるかなどを見通す材料になる。

新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻でサプライチェーン(供給網)が途絶したのを教訓として、有事に対応できる体制を整える。一方、民間レベルでもTSMCが米アリゾナ州の工場に加え、第2工場の新設、さらに日本の熊本でも工場建設を進めているが、第2工場への拡張を予定している。さらにドイツにも新工場建設を計画している。米Intelはすでにアイルランドで20年以上工場を稼働させてきたが、ドイツのザクセン地方にプロセス工場、ポーランドに後工程工場などの建設計画を打ち出している。韓国Samsungもすでにテキサス州オースチンにファウンドリ工場を10年間稼働させており、さらに近くのテイラー市にも新工場を新設する計画だ。日本にも後工程の研究所を横浜に計画している。

日本とEUは民間同士の連携が米国と比べて少なく、EUは遠い国々となっている。学会や展示会では頻繁に訪れても企業同士の連携は少ない。ロームがパワーモジュールを生産販売しているSemikronへSiCチップを供給するなど、欧州と日本の半導体メーカーとの関係は少し出来つつあるが、まだ少ない。欧州との関係が深まれば、日本の半導体メーカーや製造装置メーカー、材料メーカーにとってもビジネス拡大につながる。

リソグラフィのトップメーカーであるASMLの拠点があるオランダの政府は、すでに輸出規制しているEUV装置に加え、9月からDUV(ディープUV)装置も制限対象とすると発表した。中国への輸出を厳しく制限する米国政府が、オランダや日本など半導体製造装置に強い企業を持つ国に対しても協力を要請し、各国とも合意していた。これに応えるもの。

(2023/07/03)

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