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メモリは現在の底を脱出し少しずつ回復へ向かう、ソシオは成長路線に乗る

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2023年第1四半期の大手半導体の決算が発表された。それによるとメモリのSamsungとSK Hynixは赤字、Intelも赤字になった。一方、これまでの事業転換が奏功してソシオネクストがようやく立ち上がった。2022年度(2023年3月期)売り上げが前年度比64.7%増の1928億円、営業利益率11.3%となった。世界のファブレスの背中が見えるレベルにまで成長してきた。

Samsungのような垂直統合企業は、スマホや家電部門も持つため会社全体ではわずかながら黒字であるが、半導体部門は赤字に転落した。2023年第1四半期における全社売上額は前年同期比18%減の63.75兆ウォン(1ウォン=0.00075ドル、0.1円)、営業利益は0.64兆ウォンとギリギリの黒字だが、半導体部門では売上額が49%減の13.73兆ウォン、営業損益は前年8.45兆ウォンの黒字から一転、4.58兆ウォンの赤字となった。

特にメモリ部門の売上額は同56%減の8.92兆ウォンと、下落が激しい。非メモリの売上額は29%減の4.81兆ウォンとなった。メモリ、非メモリ、あるいはDRAM、NANDフラッシュの営業損益の内訳に関しては明らかにしていない。しかし、下落の比率はメモリ部門の方が非メモリ部門よりも大きい。Samsungの非メモリ部門における製品には、CMOSイメージセンサ、ディスプレイドライバ、APU、そしてファウンドリサービスなどがある。

SK Hynixの決算では、第1四半期の売上額は前年同期比58%減の5.09兆ウォン、営業損益が3.4兆ウォンの赤字であった。前四半期(2022年第4四半期)も1.7兆ウォンの営業赤字であった。ただし売上額は前年同期比38%減の7.699兆ウォンであった。SK Hynixはこれで2四半期連続の赤字となった。

また、Intelの減収減益は2023年第1四半期も続いている。2023年第1四半期の売上額は前年同期比36%減の117億ドル、営業利益率はNon-GAAPで2.5%の赤字となり、前四半期の黒字から一気に赤字に転落した。部門別では、パソコン部門の売上額は前年同期比38%減の58億ドル、営業損益は5億ドルの黒字だが、データセンターとAI部門は売上額が39%減の37億ドル、営業損益は5億ドルの赤字、ネットワークとエッジ部門は29%減の15億ドルの売上額で、営業損益は3億ドルの赤字となった。その他のビジネスではMobileyeが同16%増の4.58億ドルの売上額、1.23億ドルの営業黒字、ファウンドリ部門の売上額が同24%減の1.18億ドル、1.4億ドルの営業赤字となっている。


四半期の売上高および営業利益の推移 / ソシオネクスト

図1 ソシオネクストの売上額・営業利益の推移 出典:ソシオネクスト


一方、日本のファブレス半導体でトップを行くソシオネクストでは、2022年度第4四半期(2023年第1四半期)の売上額は同69.8%増の539億円、営業利益率9.2%となった(図1)。富士通の半導体とパナソニックの半導体が合併してSoCを設計するファブレスのソシオネクストは、2018〜19年度の事業再構築によって、2021年度くらいから1000億円の年間売上額と7.2%の営業利益率が出るようになってきた。

ソシオネクストが増収増益という財務の健全な企業に生まれ変わったのは、国内の富士通・パナソニックの製品を扱っていた古い仕組みから、海外から5nm /7nmという先端SoCを受注、設計するようになったからだ。付加価値の高い先端商品と海外の顧客にこだわった結果、22年度は5nm/7nmの先端商品がプロセスノードの59%、10~16nmが19%を占め、さらに海外売上比率が74%を占めるようになった。製品売上額の16%が米国、33%が中国、その他7%、日本が44%という比率だが、NRE売上額では米国45%、中国21%、日本26%、その他8%となっている。NRE売上額とは製品の設計・開発の売上額で、量産化すると製品売上額として区別している。来年、再来年の製品売上額はNRE売上額がその先行指標となっている。

今後の見通しはどうか。Samsungは従来製品では在庫調整とPCやスマートフォン需要の回復を待つことになるが、新製品の投入でサーバーやAIエンジンの需要を喚起する方向に向かう。DRAMはDDR5やLPDDR5への需要が高まっており、NANDフラッシュはQLC(4ビット/セル)の高集積化で対処する。今年後半には需要が少しずつ戻ってくると見ている。

SK Hynixは、DRAM、NANDフラッシュとも第2四半期は前四半期比1桁%の増加を期待しており、プロダクトミックスで顧客の要求に応えていくとしている。ただし、設備投資計画は在庫調整を進める観点から前年の19兆ウォンの半額程度に抑えるとしている。またHBMのシェアを拡大している同社は最大12層のスタックで最大24GBの高集積HBM3やTSVを用いる同じ厚さの16GBを提供していく。

Intelは第2四半期の見通しを、売上額は前四半期比22%減の115〜125億ドルと見ている。さらなる長期的な戦略も計画通りに勧めている。

(2023/05/01)

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