相次ぐファウンドリ事業の拡大で半導体不足に対処
半導体の供給不足を解消しようとする動きが出てきた。GlobalFoundriesがシンガポールに40億ドルを投資して新たに300mmのプロセス工場を設立する。SK Hynixはファウンドリビジネスで半導体を求める顧客に対応する。長期的な半導体需要だけではなく短期的にも新型コロナによる半導体需要も不足の要因となっている。
GlobalFoundriesは、トランプ政権の下では半導体製造に力を入れられなかったが、新政権に代わってから4月に本社をシリコンバレーから、工場のあるニューヨーク州マルタに移すことを発表した。マルタはハイテクゾーンのアルバニーから数十kmという近い街。今回、半導体需要に見合った生産能力を上げるために、税制優遇策を掲げるシンガポールに300mmの新工場を建設すると6月22日(米国時間)に発表した。GFは世界の半導体需要が今後8年間で2.1倍に増えると見て、従来のドイツドレスデン工場や米国工場に加え、シンガポール工場に300mm工場を追加する。
シンガポール新工場は年間45万枚の300mmウェーハを生産する。新工場はシンガポール政府EDB(経済開発庁)と顧客との協力で、自動車向け、5G向け、セキュリティチップ、不揮発性メモリなどの半導体を生産する。クリーンルームと事務棟の広さは2万3000平方メートル、新規採用人員は1000名、2023年に生産を開始する予定だ。
以前GFは、シンガポールの旧Chartered Semiconductorの200mm工場を買収、運営していたが、トランプ政権下の2019年に台湾のVIS(Vanguard International Semiconductor)へ売却していた。バイデン政権に代わり、GFはがぜんやる気を見せ、米国工場を充実させるだけではなく、今回のシンガポールでの新工場による生産能力向上を推進している。
SK Hynixがファウンドリサービスを強化しるため生産能力を2倍に上げるという報道が5月にあったが、韓国のファウンドリ企業Key Foundryを買収することを決めたと報じられた。SK Hynixは200mm工場に投資することを伝えられたが、韓国内のファブレス企業へのサービスが主体だとしている。6月22日の日本経済新聞によると、Hynixのファウンドリ事業は2020年の売上額32兆ウォン(約3兆1500億円)の内の2%しかないが、世界的な半導体不足に対応したものだとしている。過去にメモリで使った古い製造装置をベースにサービスを行うという。
半導体不足による自動車メーカーの工場停止は未だ止まらない。ダイハツ工業は主力の滋賀第2工場を7月中旬に2日間停止すると発表した。小型車ロッキーや軽自動車タントなどの生産に影響が出るとしている。
新型コロナによる半導体需要も増えている。ファブレスのザインエレクトロニクスは、新型コロナワクチンの温度監視システムの出荷を始めた。ザインは半導体事業に加え、AIoT事業も持っているが、温度監視システムは後者の事業。冷凍庫の温度(-75°Cあるいは-20°C)を測定、そのデータをクラウドへ飛ばすことで、ユーザーはパソコンやスマホで温度を見ることができるほか、ユーザーが定義するアラーム機能で温度範囲を逸脱するとパソコンやスマホでアラームをならすことも可能としている。
日経が売上額100億円以下の上場企業を対象にした2020年度の営業利益ランキングで、書類の文字を読み取りテキストデータ化する企業やゲーム用ソフト企業などが上位を占めた、と28日に報じた。テレワーク需要を表している。
企業向けパソコンのレンタル料金が4月に前月比7%上昇した、と24日の日経が伝えた。1カ月当たり1台平均7464円となった。テレワーク需要が続き、IDCの調べでは21年1〜3月期のパソコン出荷額は前年同期比55%増の8400万台だった。ただし、直近では半導体不足により納期遅れが現れているという。