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バイデン政権、脱中国のサプライチェーン構築に半導体を含めた

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米国のバイデン新政権がハイテク産業のサプライチェーンを見直す。半導体、電池、医薬品、重要鉱物と特に重要な部品を4品目と定め、中国以外の友好国との供給網を確立する。また、自動運転車に使われるLiDAR(光を利用した測距技術)の新しい応用としてAR(拡張現実)と組み合わせて使う用途がiPhone12で使われ始めた。

2月26日の日本経済新聞は、「バイデン米政権が基幹産業を支える重要部材のサプライチェーン見直しに乗り出した。半導体やレアアースなど4品目で中国に依存しない調達体制を築く」と報じた。この4品目は米国の競争力を維持・強化するのに必要不可欠な製品と位置付けている。石炭や石油などのローテク産業の支持基盤を取り付け大統領になったトランプ氏とは違い、バイデン新政権はハイテク産業が米国をさらに成長させることを熟知している。

ニューヨーク州立大学を中心とするアルバニー地区のハイテクセンターはオバマ元大統領が数回訪れるほど半導体を重要産業と位置付けていた。しかし、オバマ氏の政策全てを否定したかったトランプ前大統領は、SEMATECHの実質的な解散やGlobalFoundriesの撤退などを誘発し、半導体製造開発力を衰退させた。バイデン新政権は半導体やバッテリ技術などを、米国が成長するためには欠かせない「Essential industries」と位置付けている。このため、SEMIやSIA(米半導体工業会)が半導体の製造力強化を訴える手紙を2月に提出したことに即座に対応した。新政権誕生前には、半導体製造の重要性を昨年秋ごろからSEMIやSIAが超党派議員を巻き込んで、政府に訴えていた。

今回のバイデン新政権では、米国の国益や価値観を共有しない外国に依存できない、として脱中国でサプライチェーンを構築することを定めた。米国にTSMCの誘致に成功したことも米国に製造拠点を置くことも中国への対抗策といえる。半導体以外でもレアアースのNdはモーターの磁力を強化する材料としてEVには欠かせない。ただ、中国がレアアース世界生産の58%もあり、米国と豪州が次に続く。米国と豪州は米国内で鉱石の分離・精製工場の建設計画を進めていると伝えている。中国以外のサプライチェーンとして、日本、台湾、韓国、オーストラリアなどとの連携を視野に入れている。バイデン新政権は100日以内に具体策を打ち出すという。

台湾のTSMCが水不足に悩んでおり、ダムの貯水量はわずか10%台に落ち込んでいる、と2月25日の日経が報じた。TSMCは新竹地区以外の台南と台中にもメガファブを持っているが、台湾全土で水不足であるため、給水車を利用し始めたという。このような不慮の事態に備えて日本に誘致するなら、財務省を巻き込んだ税制優遇は欠かせない。今は日本にとって誘致のチャンスだが、1年限りの予算を取ったところでTSMCは動かなかった。ファブの分散化は半導体の安定供給にとって重要な課題となる。

Lidarは、これからの自動運転車には欠かせない技術で、iPhone 12にも搭載されているが、その使い方がはっきりせずオーバースペック感があった。ところがiPhone 12のLidar機能をARアプリと組み合わせて、建築現場の施工管理システムに使われている、と25日の日経が伝えた。エム・ソフトは竹中工務店と共同でこのARアプリを開発した。BIM(Building Information Modeling)対応の3D CAD情報をiPhone やiPadのアプリに取り込み、作業現場をカメラ越しにみると、目的とする個所をARでピンとして表示する。竹中工務店は配管などの施工管理に利用、3D CAD図面から例えば天井裏の配管を表示し、点検場所をピンで表示する。Lidarによってピンとの距離を測定するため、デジタルデータとして情報をクラウドなどで共有できる。

従来のLidar専用装置だと、100万円もする高価であったため導入できなかったが、スマホだとコストが抑えられる。ただ、竹中工務店の利用法だと、Lidarをイメージングに使う訳ではなく、ピンポイントで3次元情報を取得するだけに留まるため、スマホで十分であろう。またARとしても単なるデジタルピンを示すだけなので、将来はデジタルピンでの情報(配管に流れる水や空気の流量や圧力)も表示できるようにすれば、利用価値はさらに高まるだろう。

(2021/03/01)

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