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「コロナは黒船」、ニューノーマル時代はIT技術で海外に追いつけ

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新型コロナウイルス対策を機に、デジタルトランスフォーメーション(ビッグデータやAI解析を活用したIoTシステム:DX)へスムースに移行できるかが問われている。海外での進展と日本の遅れが顕著になりつつある。AI研究第一人者の東京大学松尾豊教授は「ITの可能性を見誤っていたからだ」と指摘する。DX化の進展とニューノーマル技術は重なりも多い。

ニューノーマル技術は、元に戻ることではない。コロナ対策をしっかり立てながら、元の状態に近づけようというものだ。このためにはIT技術は欠かせない。IT技術の進展から目を背けてはならない。松尾氏は、「感染リスクの把握や画像認識の技術を用いた体温の測定、肺炎などのコンピューター断層撮影装置(CT)スキャナー、治療薬やワクチン開発でAIが活用されている。海外はかなり速く、タイムリーに取り入れている。新型コロナによってデジタル化、オンライン化が急速に進み、AIの普及に追い風が吹いた」、と9月21日の日本経済新聞のインタビューに答えている。「日本の遅れは国全体での考え方が甘かった」と指摘する。

三井不動産は「新たなビルには接触しなくても機能する設備を入れていく」として、2022年夏に開業する東京八重洲再開発のオフィス・商業施設では、ビルの入館からオフィスフロアに入るところまで一度も手を触れずに行う機器を導入することだ、と18日の日経産業新聞は三井との取材を報じている。顔認証、非接触ボタンなどのテクノロジーを導入、トイレや店舗の空き状況はIoTを駆使して見える化する。三菱地所もこれから開業するビルには同様のテクノロジーを導入するという。

これに対応して、電子部品各社もニューノーマル技術を提案している。TDKは超音波センサを活用した工場従業員向け接触追跡システムを提案する。これは、超音波センサを使ったソーシャルディスタンシングのシステムだ。社員同士が近づくと超音波センサで検出、Bluetoothを経て、データベースに保存する。マクセルは、空中に表示したスイッチやアイコンの映像をタブレット端末のように操作するHMI(Human-Machine Interface)を開発した、と17日の日刊工業新聞が報じた。アルプスアルパインは、高感度の静電容量センサを開発、パネルから5cm以内に近づけると手の位置を検出する。検出したデータを独自のアルゴリズムで解析し、ジェスチャーに応じた操作を実現する。

ホログラムを利用した空間映像技術は、中国のスタートアップ東超科技も開発し、操作パネルに触れずにエレベータや駅の券売機を開発、実用化した、と17日の日経が報じた。独自開発したホログラムレンズを使って空中に操作画面を映すという。

DXに必要な映像・画像解析技術をデータ化してサービスするビジネスも出ている。富士通は、カメラを設置した車両の走行状態や周囲状況、位置関係などを把握できる映像解析技術を提供する。汎用のドライブレコーダの映像も解析でき、損害保険会社などの利用を見込んでいる、と22日の日経産業が報じた。バスやトラックなどの車種に加え、横断歩道や白線の種類、信号機の色などをAIで認識、3次元データに変換する。事故発生時の車両の軌跡や信号の変化などの状況を自動で解析でき、損保会社による事故対応を迅速化できる。

遠隔操作技術は、トラクターやショベルカーだけではなく、船にも適応しようという動きが出てきた。国内の海上輸送船に5Gでの遠隔操船やAIによる航路策定で無人船が2025年にも出向する、と22日の日経産業が報じた。陸の操縦室から数百キロ離れた会場の船を操作することで、長期の乗船や担い手不足の解決を目指す。人手で操作すると言っても衝突を回避するための自律運転機能も備える。通信回線にはセルラーと衛星を利用する。2040年に国内航船の半数の無人化をもくろむ。

船舶は、遠隔操作だけではなく自律運転による無人運航も計画されている。観光や住民の移動手段としての船でも自律運転を目指す。丸紅やクルーズ会社のトライアングルは、小型観光船の自動操縦を確立するため、神奈川県横須賀市の三笠桟橋から猿島までの1.7kmの自動走行実験を21年度中に始めるという。AIにデータを学習させると共に、衝突回避も実験するとしている。

(2020/09/23)

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