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コア基地局のオープン化で日本のNEC/NTTにも海外向けにチャンス到来

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5Gに関連するトピックスが点在しながら報じられている。8月3日の日本経済新聞はNTTと資本提携するNEC社長とのインタビュー記事を報じた。またARを活用する半導体工場を日経産業新聞が3日付けで伝えた。米中5G摩擦の経緯を7月30日の日経産業は報じた。直近では新型コロナ需要で潤った企業も多い。

NECはかつて「電電ファミリー」の中核企業だった。日本電信電話公社が民営化で分割されることになり、NECも脱電電を掲げて事業をパソコンや半導体などへ展開してきた。しかし、パソコンも半導体も世界標準から大きく外れてしまい、NECは低迷を続けてきた。社会インフラや公共事業には強いが、海外市場はまるっきり弱い。直近の2020年度第1四半期(4月〜6月期)の決算では、海外の売上比率はわずか25%しかない。75%が国内である。これでは成長できない。

何とかして海外進出を果たしたいと考えていたところに、渡りに船というべきか、NTTが5Gで海外向けに手を組もうと提案してきた。第2世代以降の5G通信では、コア基地局の仕様がオープン規格を目指しており、NTTとしても海外の5G通信網に入り込むチャンスが訪れた。NTTは光通信技術を駆使して2030年には既存技術の100倍のデータ伝送容量の通信網の実用化を目指している。5Gの究極の目標がダウンリンク20Gbpsである。この延長として6Gがある。光通信のモノづくりパートナーとしてNECを選択した。もちろんNECは元の電電ファミリーになる気はさらさらないが、グローバル化は進めたい。

NECは光通信技術の高度化にはもちろん長けているが、第2世代の5G技術であるミリ波無線技術でも東京工業大学の岡田健一研究室と共同でビームフォーミング技術を開発中だ。虎視眈々と次の5Gを狙っている。ここに海外進出が可能なコア基地局仕様O-PAN(Open Radio Access Network)が出来つつある。しかも第一人者の華為の通信機器を使わないことを欧州各国が表明しており、さらに英国政府は名指しでNECの通信機器を採り入れたいと述べている。NECにとっても追い風となる。このチャンスを生かすも殺すもNECとNTTだ。推移を注目したい。

5Gの応用の一つが実はAR/VR(拡張現実/仮想現実)だ。日経産業は、東京エレクトロンは遠隔から装置の保守ができる仕組みを整えるほか、Micron Technologyは知的財産の保護やセキュリティの強化に取り組む、と報じた。現場のフィールドエンジニアがスマートグラスを掛け、表示される専門エンジニアから指示を仰ぎながら装置を調整する、という利用シーンだ。ASMLもスマートグラスを装着して作業員へ遠隔から指示しながら露光装置のメンテナンスを行っている。MicronもARを活用した保守作業の効率かを進めている。いずれもARに写す映像をリアルタイムで処理しなければならず、それを遠隔地に送るため、5G通信が期待されている。

米中貿易摩擦により中国の華為科技の通信機器を米国内から締め出しているが、欧州でも英国が2027年までに華為の通信機器を完全に排除する方針を打ち出した。7月30日の日経産業は、フランスも続くようだと報じた。華為の通信機器は低価格が売り物で、英国ではすでに配備してしまったところが多く、徐々に他社製品に替えていく。ここでの他社製品とはEricssonとNokia Solutions & Networksだ。同紙は、漁夫の利と表現している。

新型コロナウイルスは半導体産業にとって悪いことばかりではなかった。テレワークや外出減少によって、家での仕事やゲームなどの需要が高まり、メモリやストレージが潤った。メモリメーカーのSamsungやSK Hynixの営業利益率はそれぞれ30%弱、22%強になった。サーバーとパソコンが好調で、今後はゲームやスマホがけん引すると見ている。ゲーム機にはSSDが搭載され、NANDフラッシュが採用されると見ている。

東京エレクトロンの2020年4〜6月期の連結決算では、売上額が前年同期比45%増の3148億円、純利益は564億円と同77%増えた。中国のメモリメーカーへの売り上げも大きかった。メモリだけではなく、ロジックやファウンドリ向けの製造装置も伸び、新規装置の売上額は41%増の1087億円となった。IoTや5G需要が強いとしている。

(2020/08/03)

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