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サプライチェーンの再構築が始まった

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政治の圧力でサプライチェーンが大きく変わってきているが、再構築していく動きも見え始めた。SEMIは、偽造品排除のルール作りに乗り出す。そして、自由貿易を管理貿易に変えた日韓の1年の総括、中国の半導体自主開発の掛け声、EUV時代の周辺装置開発など、サプライチェーンの再構築が始まっている。

7月9日の日本経済新聞は、SEMIが主導して、半導体製品や半導体製造装置のサプライチェーンを管理するためにブロックチェーンを使う仕組み作りに乗り出した、と報じた。半導体チップの製造履歴や納入先を把握し、偽造品や品質に問題がある製品を排除する。かつて、ICチップのモールド表面の捺印が書き換えられ、低速のチップなのに高性能の高速品にラベルを改ざんされたことがあった。この問題は長年言われ続けており、IDをチップに埋め込むなどの各社のセキュリティを強化して対処してきたが、グローバルな分業が進んできたため、各社で把握することが難しくなってきた。

そこで、2000社が加盟するSEMIが主導して、その中の900社でルールを決め、2021〜22年の実用化を目指すとしている。これまで製品にロット番号や履歴を記したコードラベルを貼ってきたが、サプライチェーンの各工程を通る過程でどこかでラベルを貼り替えられ、偽物だとわかった時には遅かった。今回、各社がブロックチェーンを構築し、取引の記録を多数のコンピュータで共有する。どこで書き替えられたかをどのコンピュータも知ることができるため、事実上書き換えは不可能になる。

一口にサプライチェーンと言っても広い。製造装置を作るための機構部品や電子部品などさまざまな供給経路があり、その製造装置を使って半導体チップを製造して工場から出荷し、希望の納入先までたどり着くまでの経路もある。さらに納入先から最終ユーザー(消費者など)に届くまでの流通経路も含まれる。これらの途中で不良品が混入すると、満足のいく最終製品になりえない可能性が高い。SEMIは今後、半導体を利用する自動車などの最終製品の業界団体とも共通してブロックチェーンを使うことも模索していくという。

日中貿易戦争は、スマートフォンや通信機器、コンピュータなどのシステム製品のサプライチェーンの中の半導体を狙ったものであるし、日韓管理貿易強化も、半導体を製造するためのサプライチェーンの中の薬品を狙ったものだ。これまでは各国間で互いに取引相手としてユーザー・メーカーの良好な関係が築かれてきた。これを政治の圧力が一方的に遮断することになったため、ユーザー側が自主開発することになった。

中国政府は、半導体の国産化を目指しており、2020年の資金調達額は7月5日時点で2兆2000億円と半年で2.2倍に増えたと、7日の日経が報じた。米中が対抗しなければ、中国政府は輸入超過を懸念した「製造2025」を進めていたが、米中争いによってわずか半年で急増した。中でもSMICは20年にグループ全体で1兆円を調達したという。今はTSMCから3〜4年遅れているが、急速に追いつける可能性が出てきた。

同様に韓国も日本が実質的に禁輸しているフッ化水素を国産化した。10日の日経が報じている。まだ日本の純度には及ばないものの時間の問題で、すぐに追いつくものとみられる。そもそもフッ化水素は体を溶かす危険な液体だけに製造者が限られていた。半導体材料は、市場規模が小さいため、先に手を付けたものが勝つという業界で、後から参入して市場を奪うという世界ではない。自国で開発せざるを得ない状況になると、危険物質であろうと開発する。

また、EUVリソグラフィ技術開発を早々に諦めた日本に対して、IMECやTSMC、Samsung、Intelなどとコラボしながら開発してきたASMLはEUVリソグラフィを独占することになった。周辺のレジスト材料や、塗布・現像装置、マスクブランクス、マスク描画装置、マスク検査装置などでは日本のメーカーの存在感が目立つ。塗布・現像装置の東京エレクトロン、レジスト材料のJSR、マスクブランクスのHOYA、マスク描画装置のニューフレアや日本電子、検査装置のレーザーテック、光源のウシオ電機などはEUV関連の売り上げを見込んでいる。

11日の日経は、安川電機の3〜5月期の決算を報じたが、売上額は前年同期比15%減だが、受注額は1%減にとどまっており、わずかながら景気の明るさが見えている。売上額の2割強を占める中国売り上げが同57%増と増えた。工作機械業界でも前年同期比での減少額が減っており、少しずつ回復の兆しが見えてきた。

(2020/07/13)

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