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ニューノーマルに対応した働き方の通常勤務が始まる

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県外への移動制限が解かれ、新型コロナ収束メドの新常態(ニューノーマル)への対応が始まった。研究開発会社のキーエンスは、通常の勤務体制を在宅から通常出勤に戻した。パソコン各社はどこでも仕事ができるように、他人に覗かれない機能を追加した製品を発売した。また、韓国でフッ化水素の生産が始まったというニュースもある。

キーエンスは、出社を全体の2〜3割に抑えていたが、緊急事態宣言解除後の5月末には6割程度に戻し、現在はほぼ通常勤務に戻した、と6月18日の日本経済新聞が報じた。ただし出社しても元に戻るわけではなく、ニューノーマルである以上、時差出勤や会議室の人数制限を継続するほか、机の間にパーテーションを設置するなどの対策も進めている。オンラインでの営業活動なども推進し、出張や移動による時間や費用のロスを抑えた効率的な事業活動にもつなげるとする。従業員の平均年収が2000万円と製造業では特別に高く、ファブレスを徹底している同社は、研究開発と営業力が強いが、在宅でできる業務が少ないため、感染者数の推移を見ながらフレキシブルに対応する。FA向けのセンサや計測器の開発にはどうしても製造装置や測定器が必要であり、在宅で業務を全て行うのは難しい。

他にも製薬会社が通常通りの出勤を認めており、通常勤務に切り替えたところが出ている。どうしても出社しないと効率の悪い仕事があるからだという。ただし、元に戻るのではなく、人と人との間隔をあけ、向かい合わせには座らせないなどの配慮をしている。

パソコンメーカーは、テレワークに適した法人向けパソコンを発売した。NECパーソナルコンピュータは、利用者以外の視線を検知すると画面をぼかすなどの機能を搭載した製品を、富士通はウェブカメラを手動で塞げる製品を投入した。NECのパソコンは、離席した場合は自動でロックし、利用者が席に戻ればすぐに起動する機能も搭載しているという。

18日の日経は、SKマテリアルズがフッ化水素の量産を始めた、と伝えた。純度が99.999%のファイブナインは日本のイレブンナインと比べ品質は落ちるが、半導体ウェーハの洗浄など生産工程の一部で導入が始まったとしている。年間15トン規模の生産設備を稼働させることで韓国内の半導体生産に使用するフッ化水素の国産化比率を70%に高める目標を持つという。一定水準の高純度を実現し、SamsungやSK Hynixが導入するとしている。

このニュースと連動して、韓国政府は日本の半導体関連材料などの対韓輸出管理の厳格化は不当だとして世界貿易機関(WTO)での紛争解決手続きを始めた、と19日の日経が報じた。韓国政府は、5月末を期限として日本側に輸出管理措置撤回の意思表示を求めており、日本が返答しなかったため韓国は6月2日にWTOでの紛争解決手続きの再開方針を示していた。韓国政府には国内の眼を日本に向かせるという意図もある。

もっと長期的なIoT、AI、5Gを駆使するスマート工場やIndustry 4.0、デジタルトランスフォーメーションの構築も始まっている。多品種少量生産にも簡単に対応できるだけではなく、設備の予知保全や製品出荷後のトレース、生産効率の見える化、対策の情報共有など新しいモノづくりに欠かせない。19日の日経産業新聞は、企業の5〜10年後を左右するとしている。

三菱電機が5月にFA(Factory Automation)の主力工場である名古屋製作所で実験を始めた、と19日の日経産業が報じた。IoTの技術とローカル5Gを組み合わせることで、設備の稼働状況をこれまで以上に高速に把握できるといった効果が期待できるとしている。同社は既にNECと共同で、製造業における5Gの活用について共同実験を進めると表明していた。工場や倉庫、港湾埠頭などでローカル5Gを実施するには総務省の許可が必要だが、手慣れたNTT系やNEC、富士通などと組むことで導入しやすくなる。

(2020/06/22)

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