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IoTシステムの事例発表相次ぐ

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ゴールデンウィークが開けた後でも緊急事態宣言は関東地区などで継続され、新型コロナウイルスの影響はそう簡単には消えないようだ。2020年第1四半期の半導体販売額、半導体ウェーハ面積共にプラス成長に回復している。こんな中、IoTシステムの応用が2件報告されている。畜産業や害獣被害対策などへの応用である。

5月8日の日経産業新聞は、牛や豚の畜産業にIoTシステムを導入した事例を紹介している。ただし、IoTという言葉を使わずDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉に代わっている。IoTシステムはセンサからのデータをデジタルに変換し、周囲のデータも考慮に入れ、総合的にデータ間の相関を見つけ、これまで気づかなかった点を見出し、業務改革を推進するための仕組みである。DXと何ら変わらない。

今回の事例では、加速度センサと圧力センサを入れたIoTデバイスを牛の首にカウベルとして取り付け、牛の行動をセンサデータとして無線で送ることで四六時中監視し異常があれば対応するというもの。これまでは常に人間が見守り牛の挙動を見てきた労働を、IoTセンサが肩代わりする。日経によれば畜産業の年間平均労働時間は、一般的な製造業の2053時間を上回り2237時間にも及ぶという。

富士山のふもとの静岡県富士吉田市に朝霧メイプルファームの牧場がある。ここでは乳牛と子牛550頭を飼っており、牛の健康状態をIoTセンサで把握する。システムを開発したのは、スタートアップのデザミス社だ。

牛が歩いたり、立っていたり、寝ていたり、反芻で食べ物を噛んでいたりする様子を加速度センサと圧力(気圧)センサでチェックする。取得したデータをグラフにして可視化するため、生産者は行動の変化に気づきやすい。疾病や発情、起立などの様子は検出しやすく、牛の行動パターンは決まっているので異常を見つけやすいという。牛の行動パターンを学習させておけば、機械学習(AI)で行動パターンを比較・推論し異常を検出できる。アルプス電気などが製品化している気圧センサは、10cm程度の高さも検出できるほどの精度が高いため、加速度センサと併せてデータを処理すれば、牛が立っている、歩いている、横たわっているなどの様子を表現できる。発情するとそわそわして落ち着かなるため、これも加速度センサで検出可能だ。デザミスはさまざまな畜産業者と契約し4月末時点で10万頭と契約したという。

養豚業でもエコポーク社は、豚の固体にセンサを付けるのではなく、エサや水やりといった日々の作業をタブレットなどに記録し、データを蓄積し肥育の改善点を提案するという。製造業の工場管理と同様、母豚100頭を同じ日に種付けし、最終的に子豚の出産数を管理する。そのデータから出産数の少ない豚の原因を追究し効率を上げるように改善する。

IoTではクラウドやインターネットを利用するため、消費電力が低く送信距離が10km以上も飛ばせるIoT専用のネットワークLPWA(Low Power Wide Area)を使うことが増えている。地方の公共事業で使われている事例を5月8日の日経が報じている。

長野県の公立諏訪東京理科大学は、地元の産学公連携の取り組みとして、鹿のわなセンサや河川水位の自動計測などへの応用に取り組んでいるという。鹿のわなでは、GPSと組み合わせ、どこのわなが作動したかという情報をLPWAで飛ばしスマートフォンに知らせるようにしている。鹿がわなに引っかかると加速度センサなどで検出できるため、GPSによるわなの位置のデータと併せて無線でデータを送る。

風水害対策として、河川の推移を計測するシステムにもIoTセンサを使うが、ここでは河川として上流の山間部の河川の推移を測定し、下流での水位をAIなどで学習させておきデータを蓄積しておけば、今後、下流での河川の氾濫を予測できるようになる。このシステムはまだ計画段階だが、この実用化も目指している。

(2020/05/11)

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