セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

データセンター需要が新型コロナ特需で高まる

|

新型コロナウイルスの蔓延による企業活動の制限により、テレワークが盛んになり、インターネット経由で仕事を行うケースが増えている。その結果、クラウドやインターネット業者のデータセンター需要や通信業者の基地局需要が増えている。このためのプロセッサやメモリの需要も増えている。

テレワークで需要が高まる製品は、自宅ではパソコンやWi-Fiルータ、データセンターではサーバやストレージ、それらを結ぶ通信基地局ではサーバやスイッチ、無線機器などの需要が高まる。このための半導体は、CPUやDRAM、NANDフラッシュ、HDDコントローラ、FPGA、GPU、電源用IC、RF-IC、モデムチップなどが求められる。クラウド業者は、データセンターの数百台以上のサーバを仮想化し、ユーザーやジョブごとにVM(仮想マシン)として提供しているため、クラウドの能力を増やすにはサーバの台数をひたすら増やすことになる。このため、必要な半導体チップもひたすら数量が増える。ただし、時期によって高性能な半導体製品に置き換えることがよくあるため、言うまでもないが常に新製品を開発していなければならない。5月5日の日本経済によると、「MicrosoftやAmazonがメモリを積極購買している」(半導体大手幹部)としている。

サーバ需要が増えているのは間違いない。サーバにはこれらのICが多数入っている。サーバ市場ではHPE(Hewlett-Packard Enterprise)やDellが強いが、最近急伸しているのは中国のInspur社だ。中国国内のTencentやAlibabaなどの大手のデータセンターに納入してきたと5日の日経は報じている。このInspurがこのほど日本法人を設立し、日本市場に参入する。同社の代表的なAI(人工知能)サーバとしてNF5468M5があるが、このサーバには、CPUとしてIntelの第2世代Xeonスケーラブルプロセッサをはじめ、NvidiaのGPUであるTesla V100を8個とT4を20個搭載しており、Xilinxの最新FPGAを含むSoCであるAlveo U200も8個搭載している。ストレージにはHDDやNVMeインタフェース付きSSDなども組み込まれている。いわば、このサーバに組み込まれている半導体は最先端の製品ばかりだ。国内では富士通とNECがサーバ市場でトップ争いを演じているが、世界市場ではシェアは小さい。

5月5日の日経によると、日本国内でもNTT東日本と西日本が提供する光回線の通信量は、4月20日の週の平日日中には2月下旬と比べ、最大5割前後増えたとしている。クラウド業者としてMicrosoftは、東日本地区と西日本地区にそれぞれ大規模なデータセンターを構築しているが、クラウドトップのAmazonも同社のAWS(Amazon Web Service)が21年に大阪拠点を拡充する予定だとしている。

ただ、サーバの部品工場が集まる東南アジアで、新型コロナにより出荷スケジュールが遅れる恐れがあるという。

Samsungは4月29日に2020年1〜3月期の決算報告を行った。全社売り上げは、前四半期比8%減の55.33兆ウォン(1ウォンは0.087円)だったが、メモリは同5%増の17.64兆ウォンと健闘した。それに伴い営業利益も5500億ウォン増加し3.99兆ウォンとなった。メモリの売り上げは同ほぼ横ばいの13.14兆ウォンだった。第2四半期のメモリの見通しとして、サーバやパソコン需要は堅調だが、スマートフォン向けは不調になると見ている。

今年の後半に向けて、Micronはスマホや民生機器、クルマの需要は低調だが、データセンターやパソコンは好調になると見ている。メモリをDRAMモジュールもSSDもスマホ向けからデータセンター向けに供給をシフトすると述べている。

(2020/05/07)

月別アーカイブ