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2019年の半導体不況下でもIntelやASMLはプラス成長

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半導体ビジネスは、経営者次第で発展も衰退もありうる。2019年の半導体市場は12.8%減のマイナス成長とWSTSは見積っているが、IntelやASMLはプラス成長だったという発表が先週あった。パソコン市場が毎年縮小していく中でIntelは得意なCPUを生かして市場を広げ、ASMLは1兆4000億円を超す売上額を計上した。

Intelは、GAAP(米国会計基準)での2019年の売上額が前年比2%増の720億ドル、経常利益が同5.6%減の220億ドルだった。純利益は211億ドルで横ばい。ただし、直近の第4四半期に限ると売上額は8%増の202億ドル、経常利益9%増の68億ドルと数字は上向いている。この数字からも景気が回復している様子がうかがえる。

Intelが今、力を強く入れている分野はデータセンターとIoTである。データセンター分野では、クラウド業者(AmazonやMicrosoft、Googleなど)が設置するコンピュータサーバを何十万台、何百万台と揃えている。ここにハイエンド向けのCPUを出荷する。2019年は前年比2%増の235億ドルにとどまったが、第4四半期は前年同期比で19%増の72億ドルと伸びている。データセンターでは2017年、18年のメモリ(DRAM)の高騰が19年も続いていたためにメモリの追加を控えてきたが、メモリの増強に伴うCPUの追加によって第4四半期あたりからデータセンター需要は立ち上がった。別計上のFPGA部門は通年で6%減の20億ドルという唯一のマイナス成長部門である。

IoTの売上額は、通年で前年比11%増の38億ドル、第4四半期は13%増の9億2000万ドルと1年を通して順調に成長している。ただ、IoTといってもゲートウェイや組み込みシステムでのCPUであり、IoT端末向けではない。IoT端末のCPUはArmが支配的だ。IoT端末のプロセッサはマイコン主体で、IntelのCPUは演算命令と制御命令の両方を使う用途が主体となっている。

最も伸びた事業は、買収したイスラエルのMobileye部門。通年で26%増の8億7900万ドル、第4四半期も前年同期比31%増の2億4000万ドルだった。Mobileyeは、CMOSセンサからのカメラ画像から物体を独自のアルゴリズムで認識・区別するSoCが得意。AIとは別の手法だが、自動車向けの画像処理チップのファブレスとして定評ある企業だった。

NANDフラッシュと3D-Xpointメモリを手掛けるメモリ部門は、通年で1%増の44億ドル、第4四半期は前年同期比10%増の12億ドルを計上した。Intelはメモリにはさほど力を入れておらず、3D-Xpointメモリを使ったSSDとパーシステントメモリをOptaneという商品名でデータセンター向けに出荷している。パーシステントメモリは、IBMがストレージクラスメモリと名付けた製品で、DRAMよりも遅いが、RAM動作を行える不揮発性メモリである。

これらの成長分野とは別にパソコン分野はそれでもまだIntelにとって最大の部門。通年売上額はフラットの371億ドルだが、全売上額の51.5%を占めている。第4四半期は2%増の100億ドルとなっている。CPUの出荷遅れがあったものの、10nmベースの第10世代のCoreプロセッサ(コード名Ice Lake)を搭載したパソコンは44機種に上るという。パソコン市場は徐々に縮小してきている。昨年はメモリが大きく値下がりしたためにパソコン自体の出荷は2%程度増えたが、長期的には少しずつ縮小していく市場ではある。

半導体製造リソグラフィ装置のASMLも2019年はプラス成長で、通年で8%増の118億ユーロ(1ユーロ=120円として1兆4160億円)と大きく成長した。純利益が26億ユーロであり、純利益率は22%と健全経営である。第4四半期はもっと良く、売上額は40億3600万ユーロ、純利益11億3400万ユーロで純利益率は28.1%と高い。

ASMLで気になるEUV装置の状況では、全装置売上額89億9600万ユーロの内、EUV売上額はその31%で、26台を売り上げた。1台平均1億726万ユーロ(129億円)となる。2018年は全装置売上額82億5900万ユーロの内の23%がEUVで、18台を出荷した。出荷台数の伸びは、44%増になる。

ASMLの事業は装置事業と装置の保守サービスの部門があり、2019年通年では保守サービス部門は28億2400万ユーロ、と全売上額の24%を占めている。全装置をメモリ用とロジック用に分けると、2018年ではメモリ用が55%を占めていたが、19年はロジック用が73%と逆転している。これまで微細化技術はロジック用が先行しており、2015年から2017年までロジック用が多かった。2018年だけメモリの方が多いという逆転現象が起きていた。2020年はやはりロジックの方が多いが、メモリ景気も活発になるため19年ほどの差ではなかろう。

(2020/01/27)

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