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国内買収劇が活発化、透けて見える東芝と日立の大きな戦略の違い

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国内企業同士の買収が増えてきた。富士フイルムが日立製作所の医療向け画像診断機器事業を買収することに加え、昭和電工は日立化成を買収する。ミネベアミツミはエイブリックを買収する。HOYAは東芝子会社のニューフレアテクノロジーを買収提案したが、東芝が反対を表明している。買収劇から日立と東芝の対照的な姿勢が見える。

富士フイルムは、日立からCTスキャナやMRI、超音波診断装置など画像診断機器事業を1790億円で買収すると発表した。旧日立メディコのこの事業部門の2018年売上額は1432億円で、2020年7月の手続き完了を目指す、と12月19日の日本経済新聞が報じた。

化学会社の昭和電工は日立化成を買収する。日立製作所が51%の株式を持つ日立化成の買収総額は9600億円になる見通しだという。TOB(株式公開買い付け)を通して2020年3月までに全株式の取得を目指す。日立化成は半導体パッケージや材料に強く、昭和電工はGaNやSiCなどの半導体材料をはじめ、半導体製造用のガスなどを手掛けており、日立化成を買収することで半導体材料を強化する。昭和電工の機能性材料の強化と日立の「脱製造」戦略が合致した買収となった。

半導体分野では、ミニチュアのボールベアリングに強いミネベアミツミがアナログ半導体のエイブリック(旧セイコーインスツル)を344億円で買収する。エイブリックの株式70%を保有する日本政策投資銀行と、30%のセイコーインスツルから全株式を、2020年7月をメドに買い取る。買収時のエイブリックの業績に応じ、ミネベアミツミは最大15億円を追加で支払う予定だと18日の日経は報じた。エイブリックの19年3月期の連結売上額は328億円。半導体を増強したかったミネベアと、時計を本業とするセイコーインスツルとの思惑が一致した。

20日の日経には、東芝の上場子会社で電子ビーム露光装置を製造しているニューフレアに対してHOYAが買収提案した件に関して、東芝の車谷暢昭会長は「HOYAの提案に応じない」と述べたことが報じられた。マスクブランクスやフォトマスクを提供しているHOYAにとっては、マスクパターンを描くのに必要な電子ビーム露光装置が手に入れば、顧客の求めに応じてすぐにフォトマスクを作れるうえに、顧客からの新しい要求で電子ビームを改良することもすぐにできるようになり、メリットは大きい。

このため、HOYAはニューフレアに対して2017年以降、複数回、提携を打診していたと16日の日経が報じていた。東芝はニューフレアの提携話を断るため、ニューフレアの株式の買い増しを進めており、完全子会社を目指す。ただ、東芝にはどのような成長戦略があって、ニューフレアを子会社化したいのかがよく見えない。東芝の半導体事業と、電子ビーム露光装置とは相乗効果がないためだ。

これに対して、日立は明確だ。ITのデータ統合処理システムであるLUMADAを駆使して、データ会社への脱皮を図ろうとしている。それもIoTをベースにデータを集め、デジタルトランスフォーメーションに生かす戦略を推進している。このため大型風力発電機そのものからは撤退するが、IoTセンサを用いてデータを活用することには力を注ぐ。日立の東原敏昭社長は、日立の強みをIT(情報)とOT(モノづくり)の両方を持つのが強み、と常々語っており、OTの中でもデータを生かせないと判断する分野は撤退するようだ。

データサービスへの企業の事業転換は、建機のコマツも進めている。もともとIoTを使って予知保全やデータ管理は以前から先行してやってきたが、23日の日経産業新聞によれば、1日1回しか稼働時間や位置、燃料の残量などのデータを集めてこなかったという。これを数十秒間隔で集め、リアルタイムで状況を監視する仕組みを作る。ただし、データ量が大きく膨らむため、エッジで新型コントローラを搭載した。すでに、建設現場工程をデジタル化したことで、工程を約4割短縮したという実例を持っているため、デジタルデータ化をさらに推進する。

一方で、国内には、ハイテク製品ハードウエアでは相変わらず強い企業が多く、新時代に向けた新製品を出している。三菱電機は、かなり硬いSiCインゴットからウェーハにスライスする放電加工機を実用化し、レーザーテックはEUVを使ったマスク検査装置を開発した。また日立ハイテクノロジーズは5nm世代の半導体向けの測長SEMを2020年度中に投入する。ニッパツは電気自動車向けにヒートシンクを一体化した回路基板を開発、プレス圧着により熱抵抗を25%削減したという。

(2019/12/23)

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