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ローカル5Gの実証実験が工場や現場で始まる

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5G通信のビジネス機会が日本では、製造現場や大企業のキャンパスなどをカバーする「ローカル5G」にありそうだ。携帯電話で使う5Gは韓国や米国で始まっているが、5G最大の特長である高速データ速度20Gbpsにはまだ遠く及ばない。2020年代にかけて進化していくが、ローカル5Gは20Gbpsも要らない。

富士通が通信オペレータの基地局向けの5G無線通信機器と、一般企業が自社内で活用するローカル5G用の無線通信装置に力を入れていく、と9月12日の日経産業新聞が報じた。通信機器業界では、スウェーデンのEricsson、フィンランドのNokia Solutions & Networks、そして中国の華為科技のビッグ3社が、4Gでは合計で70〜80%程度の大きなシェアを占めていた。5Gでは基地局の通信機器のオープン化を推進するため、AT&TとChina Mobile、Deutsche Telecom、NTTドコモ、Orangeという世界の大手通信オペレータがORAN Alliance(オーランアライアンス)設立している。このアライアンスが策定する標準仕様の無線通信機器を富士通が製造する。

4Gの通信機器では、日本の富士通やNECはビッグ3社に完敗したため、5Gで本来の通信機器メーカーとして力を入れ始めている。富士通は7月末に栃木県小山市の小山工場で5Gの屋外無線装置の組み立てラインを稼働させ、生産スペースを柔軟に調整しやすいようにした。一般企業向けにローカル5Gを提案していくが、その免許申請は12月以降の見込みだという。すでに200社以上の引き合いがあり、小山工場をローカル5Gのショーケースとして位置付ける方針だ。

製造業が5Gを導入するための実証実験(PoC: Proof of Concept)をオムロンが、NTTドコモとNokiaの協力を得て開始する。モノづくりが得意なオムロンは、工場内にIoTセンサを配置し、5Gネットワークでサーバーにデータを集め、生産性の向上を目指す。ただし、ローカル5G規格ではまだない。また、KDDIは工作機械のDMG森精機を共同で今秋にも三重県伊賀市にある伊賀事業所に5Gの基地局を共同で設けるという。

IoTと無線技術の活用で先行するコマツの役員とのインタビュー記事を10日の日刊工業新聞が掲載、建設機械を利用する鉱山や建設現場が抱える問題を解決するためにITを使うと述べている。コマツが中核とする部分や必要な部品は自社で完結させるものの、計測やITなど自社にない技術は外部とアライアンスを積極的に組んでいくという。ビジネス環境の変化が年々急速に変わっていくことに迅速に対処するためには、もはや1社では無理である。アライアンスを進めるうえで重視していることは、小さなベンチャーなどと対等なパートナーという意識を持つことが重要だとしている。

電子部品大手のアルプスアルパインは、5G対応の通信機器に向け、Qualcommとソフトウエアライセンス契約を締結した、と10日の日経産業が報じた。ライセンスを通じ、QualcommのSnapdragonに組み込むソフトウエアをいち早く知ることで、5G用の通信モジュールを他社より早く開発できる。

10日にAppleがiPhone 11シリーズを発表し、3眼カメラを搭載していることを示した。iPhone 11はこれまでの高性能・高価という路線が見直され、699ドルと安価なモデルとなった。3眼カメラ用のイメージセンサはソニー製であるため、ソニーにとって追い風となる。スマホ自身の成長は飽和気味だが、搭載するカメラは単眼から2眼、そして3眼へと増加していくため、ソニーの半導体ビジネスはさらに成長していく。

このため15億ドルの株を持つファンドのThird Point社の、ソニー本体からの独立を促す声がますます強まりそうだ。Texas InstrumentsやQualcomm、TSMCなど半導体大手12社の企業価値が20年度にEBITに対して13倍前後であるのに比べて、ソニー本体は8倍しかないからだ、と13日の日本経済新聞は述べている。このファンドは、ソニーの半導体部門を分離・独立させれば、ソニー半導体の企業価値はもっと高まると見ているのである。しかし、ソニーのCFOは半導体とシナジーがあるため分離しないと述べているが、どう見ても今のソニー本体とのシナジー効果は乏しい。ソニーはどう説得するか、問われている。

(2019/09/17)

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