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コラボを進める企業が続々登場

「IoTシステムは1社だけでは絶対できない」。業界からよく言われる言葉である。コラボレーションが必須の事業であり、先週はコラボのニュースが比較的多く流れた。台湾のAdvantechが日本企業とのコラボを募り、カーエレクトロニクスやロボットなどでもコラボが進む。米中貿易対立は、華為が米R&Dセンターを閉鎖、数百人を削減する。

IoTでは、センサからゲートウエアやセルラーネットワークまでの送信回路などを含むIoTデバイス(あるいはセンサ)からネットワークへ転送、ネットワークからクラウドへの送信、クラウドでのデータの管理や保存、解析、さらにはIoTセンサやユーザーのモバイル端末へのフィードバックと可視化など、幅広いビジネスが関係する。このため、ハード、ソフト、サービスの各業界からいろいろなプレイヤーの支援が不可欠となる。

台湾のAdvantechが、産業用コンピュータなどのハードウエア製品と、IoTデバイスやデータを収集、管理するソフトウエアプラットフォーム「WISE-PaaS」を組み合わせたビジネスを展開している、と7月15日の日経産業新聞が報じた。同社の日本法人が日本企業15社程度とのコラボレーションを今後3年以内に獲得、協業先の現場での実装やアフターサービスを展開する。PaaS(Platform as a Service)と呼ぶソフトウエアプラットフォームはクラウド上でデータ収集・管理する上で欠かせない。日本ではすでに、コマツと建機製造の自動化で協業し、組み立て作業の可視化に取り組んでいるとしている。

トヨタ自動車とデンソーは車載用半導体の研究開発会社を2020年4月に設立すると発表、日本経済新聞は11日に報じた。新会社は愛知県日進市のデンソーの先端技術研究所内に設立する。カーエレクトロニクスは、これまでの「走る」、「曲がる」、「止まる」の三つの要素から、自動運転やコネクテッドカーなどコンピュータ演算が必須のACES(Autonomy, Connectivity, Electricity, Sharing)技術へと拡大しつつある。このため、ACESに必要なセンサやEV用のインバータ、バッテリ管理技術などに欠かせない基幹半導体を開発することが狙い。世界でもトップレベルの両社が組むことで、強さをますます発揮できるようになる。反面、この新研究開発会社は、両社が出資しているルネサスが車載半導体でトップから3位に転落したことも影響している可能性はある。

クルマのACESでのユーザーインターフェースに音声認識技術がますます使われるようになりそうだ。商用化で先頭に立っている米Nuance Communications社は、クルマへ搭載でも実績はあるが、従来の音声認識アルゴリズムにAIも加えて、運転手と対話以上の会話を提供する、と11日の日経産業が報じた。会話のニュアンスから運転手の感情までも読み取るという。ここでも感情認識のAIエンジンを、MIT Media Labからスピンオフした米Affectiva社から導入、ドイツの人工知能研究センターとも協力していると述べている。

日本では、産官のコンソーシアムがコラボの典型として昔から存在しているが、モノづくりの後継者不足を補うためのロボットや産業機械と人との協働を目指す、「モノづくりコンソーシアム」が設立された、と9日の日刊工業新聞が報じた。産業技術総合研究所と沖電気工業、日鉄ソリューションズ、三菱電機が設立、現在10社が会員となっている。機械に人を理解させ、AIやロボットが支援する仕組みを目指すという。

米中、日韓の貿易問題では、華為が米国に設立した研究開発会社では850名が働いているが、規模を縮小するため数百名を解雇する計画だというWall Street Journalの記事を15日の日経が紹介した。米国での取引先は1200社を超えるため、米国内での影響も少なくない。また、日韓の貿易問題では、Samsungが最近強化し始めたファウンドリビジネスに使うEUV用レジストが入手できなくなる恐れがある、と12日の日経が報じた。最近、在庫を積み増したとの観測もあるという。

ライセンスフリーのオープンなCPUコアRISC-Vを手掛けるSiFive社は、中国ビジネスに期待していると12日の日経産業が報じた。華為は、ライセンスの必要なArmコアが入手しにくくなる実情を踏まえ、RISC-Vコアに切り替える方針を打ち出している。SiFiveは設計サービスに関するIPをSiFive の中国法人SiFive China社に移転しているが、オープンなライセンスフリーのCPUコアだけに、米商務省の管轄外だとしている。RICS-Vは台湾のAndes Technologyも扱っており、CPUを使いやすい形で製品やサービスを提供している。

(2019/07/16)
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