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クルマ市場が活発、ACEの意識高まる

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クルマのACES(Autonomous・Connective・Electric・Sharing)の内、Sを意味するシェアリングはテクノロジーの視点からは異なるトレンドであるが、ACEに向けた動きは活発になっている。日産が地図データと走行データを連動させ、車線を自動で変更できる技術を発表し、スタンレーがLEDランプに150億円の投資を行う。また、ソニーとMicrosoftの提携も驚かせた。

日産自動車がカーナビゲーションで目的地を設定し、高速道路に入った後、走行ルートの変更や自動で車線変更できる機能を搭載した「プロパイロット2.0」のスカイラインを今秋、発売する。5月17日の日経産業新聞でも掲載された。このクルマには、カメラ、レーダー、ソナー、GPS、3次元地図データなどクルマの周囲にある情報を的確に捉えるだけではなく、ドライバーの様子を撮影するドライバーモニターも備えている。高速道路の合流から本線に乗り、プロパイロット2.0機能が動作するとディスプレイ上に示し音でも知らせる。この機能が動作すると設定した速度を上限として、先行車両との距離を一定に保ちながら車線中央を走行する。先行車が遅すぎる場合は、追い抜くかどうかをドライバーに聞いてくる。ドライバーが承認すると自動で車線を変え、追い越す。

自動車ランプの大手スタンレー電気が次世代車に向け、将来的な需要増を見据えて、2021年度までに計150億円を投じ、LEDの新工場や試験施設など3つの拠点を新設すると17日の日経産業が報じた。EV(電気自動車)や自動運転車では、センサとLEDを利用するスマートライティング技術が採用されていく。スタンレーの自動車ランプ主力工場の秦野製作所(神奈川県秦野市)の隣接地にトンネル型の試験施設を建設する。長距離での光の届き方などを検証することが可能になる。20年6月をメドに完成予定で、投資額は90億円規模になるとみられる。

また16日の日刊工業新聞は、部品メーカーがACEの専門部隊を立ち上げている、と報じた。ニッパツは社長直轄組織として電動化に対応した部署を発足、電子制御ユニット(ECU)内の金属基板に冷却機能を付与した部品の開発に着手した。新設した「電動化事業推進室」は、電動化に向けて冷却部品のほか、EV向けモータのコアなど電動化製品を拡充するのが狙い。パイオラックスはACE対応専門のプロジェクトチームを設け、先駆的な製品開発に向けて国内と中国で開発部門の連携を促す。まずは国内で開発と営業の両部門から選出した計10人程度のチームを構築、2020年度には中国の統括会社「上海パイオラックス」との情報共有を視野に入れる。

ドイツではEV化が加速していると15日の日経が報じている。Volkswagen(VW)はEV用電池の自社生産に10億ユーロ(約1230億円)弱を投資する。23年までに300億ユーロにのぼる電動化投資を行う。VWは「21世紀の大衆車」とうたい年末から量産を始める戦略車「ID.3」をはじめ、28年までに約70車種のEVを投入する。電池不足のリスクはすでに表面化している。子会社Audiのブリュッセル工場では、韓国LG化学からの電池の調達が遅れ、Audiは韓国Samsung SDIからも調達して量産を軌道に乗せる考えだ。Daimlerは2030年までに新車販売の半分をEVかプラグインハイブリッド車(PHV)に切り替える。

先週は、ソニーとMicrosoftの提携が衝撃的なニュースだった。ゲーム機で競合関係にあるソニーとMicrosoftがクラウドベースのゲーム体験とAIソリューションで戦略的な提携に向けた意向確認書を締結したと16日発表した。世界中のユーザーにこれまで以上に充実したエンタテインメント体験を提供するとともに、コンテンツ制作者コミュニティに向けて、より良い開発プラットフォームを提供する。ゲームやコンテンツのストリーミングサービスでの用途を目的とした、将来のクラウドプラットフォームとしてMicrosoft Azureを活用する。

(2019/05/20)

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