Electronicaでもクルマが注目され、AIは定着してくる
先週は、ミュンヘンで欧州最大のエレクトロニクスショーであるElectronicaが開催され、大きなトピックスは、やはりクルマだったようだ(11月15日の日本経済新聞)。マスメディアは自動運転に関心が集まるが、電動化やシェアリングの話題もある。自動運転に必須のAI(自動認識)ではパナソニックのコンサルティング事業も報じられた。メモリの単価がようやく10月に値下がりをはじめ、需要喚起できるようになりそうだ。
日経によるとElectronicaではクルマの電動化で急速充電装置のキーコンポーネントにInfineon Technologiesのチップが使われていることが注目された。この急速充電装置は、VolkswagenとDaimler、BMWが共同出資する急送充電インフラ連合が開発したもの。日本の旭化成も、コンセプトEVカーAKXYを展示し、軽量化するエンジニアリング樹脂や人工皮革などの材料に加え、ドライバーの脳波を測定する非接触バイタルセンサや音声処理技術、室内空気の清浄度を見るCO2センサなどエレクトロニクス技術を展示した、とニュースリリースで述べている。
Googleの次世代研究開発部門Google Xが開発してきた自動運転車Waymoが10月に米国で重ねてきた公道試験の累積走行距離が1600万kmに達した、と16日の日経は報じた。これまでの間、AI(自動認識技術)を使い交通状況を学習してきた。そのためのカメラやLiDAR、レーダーをクルマのルーフや車両の前後に取り付けている。Waymoが学習してきた膨大なデータを使い、米アリゾナ州で店舗までの無料送迎サービスを始めると今年の7月に発表している。
AIをこれまでのデータセンター中心から端末というべきエッジでも使うことを前提に消費電力を減らすためのアーキテクチャをOKIと会津大学、綜合警備保障、ジャパンマリンユナイテッドの4者が共同で開発すると16日の日経産業新聞が報じた。AIで使うCNN(畳込みニューラルネットワーク)のメモリとのやり取りを減らす方法に工夫を凝らすことで消費電力を減らすとしている。
半導体ビジネスの今後を占ううえで、DRAM価格が10月になり、ようやく2年半ぶりに値下がりしたと15日の日経が報じた。これまでDRAMは2年半前の2.5倍以上値上がりしてきたため、DRAM各社は営業利益率が60%も超えるというバブルをこの2年半の間、享受してきた。10月の4GビットのDDR3-DRAMが前月比で3%値下がりの3.6ドルになった。動作速度がさらに速いDDR4でも4ドル前後の2%値下がりした。
スマホメーカーはDRAMの値上がりによって、スマホ価格も値上げしたため、高いスマホばかりで、売れなくなっていた。データセンターでもDRAMは不可欠であるため、サーバーが値上がりし、データセンターへの投資にブレーキがかかるようになった。DRAMの値下げによって、スマホもパソコンもサーバーも値下がりできる見通しが出てくるようになるため、しばらくすると(来年半ばまでには)コンピュータは値下がりし、需要が喚起され、健全な成長へ向かうことになる。
パナソニックのIT部門であるパナソニックソリューションテクノロジーは2〜3年かけてAIの技術者を2倍の40〜60人に増やす、と14日の日経産業が報じた。現在のAI(ディープラーニングや機械学習)では、例えば現場で撮影した画像のどこを学習させるのかを紐づけしたり、うまくデータが得られるように調整したりする前処理が必要で、顧客のコンサルティングを行う必要がある。AI技術者はコンサルティングも行うことで、一つの工場やラインで画像システムからAIコンサルティングまで行える企業を目指す。