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さまざまな企業や団体とコラボするエコシステムがあちらこちらに

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もはや企業1社では効率よく新製品や新技術、新サービスを生み出すことが難しくなってきた。Intelのe-ASIC、BroadcomのCA Technologiesの買収をはじめ、パートナーシップや共同開発などエコシステムをうまく利用するビジネスの発表が多い1週間だった。

パソコン用CPUに特化してきたIntelはここ10年、CPU以外にも通信、AI、IoT、ワイヤレス技術などさまざまな展開をやってきた。CPUはよりコンピューティング能力が必要なサーバーやデータセンターに向け、高性能プロセッサを順調に伸ばしてきて、ソフトウエアで機能を変えるCPU以外にハードウエアの専用回路を作れるFPGAをAltera買収で得た後、ASICとFPGAの中間と言われるストラクチャードASICを手掛けてきたe-ASICを買収すると発表した。Intelはこれにより、プログラム可能なフレキシビリティと性能とのマップのかなりの部分を埋めることができるようになる。

また、Broadcomは、組み込み向けソフトウエアで最大手の一つであるCA Technologiesを189億ドル(2兆1000億円)で買収すると発表した。CA は企業の基幹システム向けやインフラ向けのソフトウエアに強く、デジタルトランスフォーメーションのデータの管理ソフトで実績がある。

通信に強いBroadcomが大手ソフトウエア会社を買ったことに対して、市場関係者は困惑しているようだ。Broadcomは、シンガポールに本社を置いていた数カ月前頃、米国政府がQualcomm買収に対してノーを突き付けた。その後Broadcomは本社を米国に移したものの、トランプ政府は心良しとしていないようだ。BroadcomはQualcomm買収に備えて、買収金額相当の資金調達を済ませており、出資者からのプレッシャーがあり、経営陣はその使い道に頭をひねっていたようだ。CA Technologiesは非常に幅広いソフトウエアを企業向けにそろえており、通信に特化したBroadcomに対して市場関係者の困惑は、Broadcomの株価下落として反応した。

IHIは、自走式の立体駐車場に自動運転車が対応できるようにするため、慶応大学と共同研究を始める、と7月12日の日本経済新聞が報じた。屋内の立体駐車場ではGPS信号が入らないため、屋内でも位置を同定できる技術の開発に取り組むとしている。ビーコンや反射板、RFIDなどを活用して、位置を同定するようだ。7月中にIHI運搬機械の沼津工場(静岡県沼津市)内に開発用の試験用駐車場を建設。立体駐車場にみられる様々なパターンを試験できるようにし、実際に走らせて検証する、としている。

日本医療研究開発機構は、東京女子医科大学、信州大学とデンソーや日立製作所など11社と共同で、医師の手術ミスを減らす最先端の手術室「スマート治療室」の臨床研究を始めると発表した。IoTを活用して各種医療機器・設備を接続・連携させ、手術の進行や患者の状況を統合把握することにより、手術の精度と安全性を向上させるというプロジェクトだ。医療機器を結ぶためのインターフェースであるORiN(Open Resource interface for the Network)をコアとする治療室用インターフェースOPeLiNKをデンソーが中心になって開発し、日立のMRI(核磁気共鳴画像法)などの手術室内医療機器や設備を接続する。このほど2019年の事業化を目指した「スタンダードモデル」の手術室を信州大学病院内に完成させた。各種医療情報を「時系列の治療記録」として収集・提供(表示)し、手術室外の医師・技師等にも共有することにより、治療の効率性や安全性の向上が期待できるとしている。これらを検証するための脳腫瘍に関する臨床研究を7月から開始する。

富士フイルムホールディングスは理化学研究所とAIの研究に取り組む組織を新設すると発表した。理研は都内のコレド日本橋ビル内に、革新知能統合研究センターを設置しているが、このセンター内にAI研究組織を設けるという。富士フィルムは医療関係で撮影されたX線画像の分析レポートを、AIを使って自動作成するとしている。

(2018/07/17)

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