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半導体製造装置メーカー強気の裏に中国の投資計画あり

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先週は東京エレクトロンの決算報告があり、半導体製造装置メーカーの好調さが浮き彫りとなった。同社を含む半導体・ディスプレイパネル製造装置大手7社の設備投資額が4割増える見通しだ、と5月30日の日本経済新聞が報じた。一方で、中国の紫光集団は今後10年で1000億ドル(約11兆円)を半導体に投資することを6月1日の日経が伝えた。

半導体製造装置メーカーは、2018年3月期の決算では絶好調だ。その代表的なメーカーの一つである東京エレクトロン(TEL)は、2018年3月期(2018年度)の実績が1兆1307億円となり、初めて1兆円を超えたが、2019年度の見通しはさらに23.8%も成長する1兆4000億円を見込んでいると発表した。営業利益率は前年度が24.9%と好調で、今年度も26.1%と好調を維持する見込みだ。

同社とSCREENホールディングス、日立ハイテクノロジーズ、ディスコ、東京精密、アドバンテストの19年3月期の設備投資見通しを合算すると、約1500億円と43%も増えると日経は報じた。将来のIoTやクラウド向けデータセンター、クルマ(カーエレクトロニクス)向けの設備投資は必要であるが、半導体の設備投資を盛んに進めているのは何といっても中国。それも3D-NANDフラッシュとDRAMのIDM(垂直統合メーカー)の設備投資は、世界のメモリ投資とそれほどの差はなく、追いつき追い越せというよりも10年後に君臨することが中国側にイメージとしてある。

紫光集団が出資する湖北省武漢市のメモリメーカーYMTC(長江存儲科技)の工場建設が進んでおり、第1から第3までのフェーズの渡り工場を建設していく。まず第1フェーズの工場が2017年9月に完了し、2018年第3四半期に設備導入を行い、18年第4四半期に試作量産を開始する予定になっている。第1フェーズでは32層の3D-NANDから始め、量産当初は1万枚/月以下の生産量となりそうだ。第2、第3フェーズに64層NANDへ移行する。YMTCへのアスペクト比の高いエッチングやでポジションに新しい装置が必要となるため、製造装置メーカーが潤うことになる。日経は、10年後には東芝メモリの四日市工場の1.5倍に相当する100万枚/月の規模を目指すと述べている。

さらにDRAM製造に関してもJHICCとInnotronが工場を建設しており、2019年には生産を始める計画だ。両社のDRAM生産能力が最大になるにはもっと時間がかかる見込みで、2020〜2021年に完全量産レベルの到達し、その頃には25万枚/月の月産能力を見込んでいる。

将来性のある市場としてクルマもあるが、トヨタ自動車はデンソーと電子部品事業を統合すると発表した。これはハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の量産開発をデンソーに集約し、電子部品の開発スピードや供給力を引き上げるためだとしている。トヨタはグループ内で電動化を加速しており、2030年に電動車販売を現状の4倍近くに増やす戦略だとしている。トヨタは、昨年9月にデンソーやマツダと電動車の基盤技術を開発する新会社を設立し、電池でもパナソニックと提携している。

パナソニックは30日の投資家への説明会で、自動車向けを中心とする電池事業の売上額を2021年度に17年度の2倍にあたる1兆1250億円に伸ばすという目標を公表したと、5月31日の日経が報じている。

(2018/06/04)

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