Samsungのメモリが四半期で1兆円を超す最高益
DRAMの単価がいまだに下がらず、Samsungは空前の営業利益を上げている。1〜3月期の営業利益が15兆6000億ウォン(約1兆5600億円)を計上、特に半導体部門は11兆ウォン(約1兆1000億円)だというメモリバブルを謳歌している。メモリだけではなく半導体全体が好調で、IoT、5Gの進展もあり、後工程で設備投資が活発になっている。
4月6日に発表した1〜3月期のSamsungの連結売上額は前年同期比19%増の60兆ウォン(約6兆円)となった、と4月7日の日本経済新聞が伝えた。半導体以外の利益が4600億円程度しかないが、半導体はDRAMとNANDフラッシュ共に市場シェア1位だけにメモリバブルの恩恵をいまだに受けている。NAND価格は順調に下がってきており、その分市場が大きく伸びているため、NANDフラッシュメーカーも売り上げは増加傾向にある。DRAMは生産量を抑えた効果が続いており、本来下がるはずのメモリビジネスで単価の上昇がいまだに続いている。DRAMはSamsungとSK Hynix、Micronの3社で市場の90%を占める独占産業となってしまい、メモリユーザーはそろそろ独占禁止法の適用を考える時期に来ているかもしれない。
DRAMバブルが続いている中、NANDフラッシュは3Dの歩留まりが上がり生産が伸びており、他の半導体もつられて好調を持続している。後工程メーカーOSATのトップ、台湾のASEは4億1600万ドル(約440億円)を投じ南部の高雄に新工場を建設すると4日の日経が報じた。2020年の完成を見込み、年間360億円の売上額を見込む。IoT関連の需要拡大に対応するとしている。SEMIによると、後工程は2017年の市場規模が23.4%増の290億ドル(約3兆円)に達した、と4日の日経が伝えた。
IoTでは、ロームが工場の設備電源にIoTセンサを設置し、生産設備の稼働状況を職場の大型ディスプレイやスマートフォンでみられるようなシステムを開発した、と6日の日経が報じた。昨年ロームは、電流センサと組み込みボードをIoTキット「CT Sensor Shield」として発売したが、このボードを使っているかどうかは新聞からは読み取れない。新聞によれば、浴衣の帯で国内首位の小杉織物の織機70台に試験導入したところ、稼働していない織機をいち早く発見し修理することで、設備の稼働率を70%から80%に上げ、織機の停止回数は16%減少したという。導入費用は約200万円、維持費用は毎月1万円だとしている。
パナソニックはIoT対応家電の開発ノウハウを持つShiftall(シフトール)を、IoT製品開発会社Cerevo(セレボ)社から全株式を取得し子会社化した。シフトールの社員26人を取り込み、開発速度を上げるという。
IoTではないがVR(仮想現実)やAR(拡張現実)などに必要な画像処理プロセッサを開発しているソシオネクストがフィンランドのVarjo(ヴァリヨ)社へ画像処理チップを供給することになった、と4月3日の日刊工業新聞が報じた。2018年末に出荷する予定。ソシオネクストはこれまでスマートフォンやデジタルカメラ用の画像処理プロセッサ「ミルビュー」をVR/AR市場に展開してきた。Varjoは視線が向いている部分の解像度だけを上げる技術をヘッドセットディスプレイで確立している。
パワー半導体では、日立製作所が10kVA〜50kVAの中小容量UPS(無停電電源)電源にSiC半導体を採用、最終製品(UPS)の価格を従来よりも抑えた3日の日刊工業が報じた。SiC半導体自身はシリコンのIGBTよりも価格が数倍高いが、高周波動作が可能でエネルギー効率が93.5%と高いため、平滑回路のコンデンサやコイルが小型軽量になるため、重量が40%、設置面積が60%削減した。この結果、最終価格を下げることができたようだ。
半導体市場として今後期待される5G通信では、NICT(情報通信研究機構)が基地局1台に2万台の端末が同時に通信できる実験に成功した、と6日の日経産業新聞が報じた。5Gでは携帯電話やスマホだけではなく、IoTやクルマなど様々な端末をつなげる「多数同時接続」が特長の一つである。実験では実際の端末ではなくシミュレータを用いたもので、各端末が5秒に1回データを基地局に送信し、70秒程度で全端末のデータを受信した。