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クルマ用半導体が活発、48V系、イメージセンサなどが新市場開拓

クルマ用半導体の開発競争が活発になっている。48V系の回生システムを使うマイルドハイブリッド、CMOSイメージセンサ、物体の自動認識のための機械学習向けGPU、などクルマ向けに半導体の記事が目立つ。BroadcomのQualcommに対する買収提案はあっけない幕切れになった。

3月16日の日経産業新聞は、三菱電機の48Vを使うマイルドハイブリッドカー向けの駆動機構をMercedes Benz向けに量産を開始した、と発表した。欧州では、これまでディーゼル社が主流だったが、Volkswagenの燃費の虚偽報告によって、欧州の自動車メーカーはディーゼルエンジンからハイブリッドやマイルドハイブリッドへの転換を迫られていた。三菱電機が開発した駆動機構ISG(Integrated Starter Generator)は、エンジンとトランスミッションとの間に配置されているため、ベルト駆動を使っていない。

欧州で盛んになってきた48V系のマイルドハイブリッド車は、始動時にバッテリからモータを使ってエンジンのトルク不足を補充し、停止時にブレーキをかけると回生機構によってモータを発電機に変えバッテリを充電する。12V電源よりも高電圧にすることで回生ブレーキを実現できるだけではなく、ワイヤーを軽くできる。また330V程度の高電圧を使う電気自動車やプラグインハイブリッド車と比べ、コストを抑えられるというメリットがある。新たな48V系システムでは、DC-DCコンバータやインバータなどパワー半導体やその制御用マイコンなどの半導体も必要とされ、新たな半導体市場ができる。

日経産業の記事は、「三菱電機は搭載車種や納入規模は明らかにしていない」と述べているが、ちょうど同じころ、Mercedes BenzがISGを搭載しベルトを使わないマイルドハイブリッド車S 450を発表している(参考資料1)。Mercedesのシステムは三菱電機の駆動機構とそっくりである。三菱電機の駆動機構を採用している可能性は高い。

また、半導体各社がクルマ用のCMOSイメージセンサ市場を狙っていると14日の日刊工業新聞が報じた。クルマ用CMOSイメージセンサではON Semiconductorが40%以上のトップシェアを握るが、同社はパワー半導体や駆動用半導体、電源用IC、各種センサなどクルマ用の様々な半導体を製造しており、強さに磨きをかける。STMicroelectronicsはLEDのフリッカーを抑えたCMOSセンサを計画している。フリッカーは、LEDランプを高速のイメージセンサでみるとすべてのLEDが点灯していないように見える現象で、誤認識する恐れがある。多数のLEDチップをストリング上に並べ、そのストリングを並列にずらりと並べて時分割で電源を順次ストリングに供給していく。1個のLEDドライバで無数のLEDチップに電源を供給するのはコストを下げるため。

また、ソニーのCMOSセンサはスマートフォンには強いがクルマ市場では全くダメ。ただし、フリッカー防止や広いダイナミックレンジ、暗闇での撮影など性能は群を抜いている。クルマ市場に入るためには性能が良くても、信頼性試験による厳しい品質検査を通過する必要がある。

また自動運転には物体認識が欠かせない。機械学習でパターン認識を進める技術がAI(人工知能)の主流となっているが、グラフィクスチップのように超並列演算に特化するGPUメーカーのNvidia の日本法人代表の記事が15日の日経産業に掲載されている。ここでは自動車にほとんど触れられていないが、AI開発者の不足を解消する人材育成が必要だと訴求している。

Broadcomは現在、シンガポールに本社を置いているが、米国に本社を4月に移転することをすでにトランプ大統領に述べているのにもかかわらず、「安全保障上の理由」という不明な回答のまま、Qualcomm買収を断念させられた。案外、トランプ大統領はBroadcomの本社移転を忘れてしまったのかもしれない。


参考資料
1. エレクトロニクス満載のメルセデスの最新内燃エンジン車、マイナビニュース(2018/03/06)


(2018/01/09)

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