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フラッシュメモリは平時の値下がり曲線に乗りつつある

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半導体メモリの価格がようやく平常時に戻りつつある。これまでは、バブルのように異常に単価が値上がり続けていた。DRAMはいまだに値上がり続けているが、NANDフラッシュメモリのスポット価格が3ヵ月前に比べ1割安前後の価格で推移している、と2月18日の日本経済新聞が伝えた。

日経は、「2016年後半から続いた上昇局面が足元で変調してきた」と報じているが、従来のメモリビジネスでは、メモリ価格は常に下がり続けてきた。半導体メモリの新製品をメーカーが市場に出すと、最初は高価格だが、徐々に下がってきて最終的に下げ止まる。もちろんその前に次の次世代製品となるべき高集積あるいは高速なチップを市場に投入する。今度はその次世代新製品が値下がりしていく。値下がりするのは、製造歩留まりが上がり習熟曲線に乗って製造コストも下がっていくためだ。

今回のように、2016年後半から半導体産業が好況に沸いたのは、ひとえにメモリ単価の値上がりによるもの。生産量は増やさなかったためだ。その単価が従来通りの値下がりを示し始めたが必ずしも不況が来ることではない。従来通りの健全な成長曲線に乗るならば不況ではなく、メモリメーカーの売り上げは増えるはずである。ただし、健全な値下がり曲線上よりも下がるのであれば値崩れすることになり、景気に影響を及ぼす。

日経は、スマートフォンが売れなくなったから、半導体が売れなくなったとみているが、必ずしもそうとは言えない。スマホメーカー側からすれば、メモリが高すぎたために、スマホやパソコンが売れなかった、ともいえる。いわば、鶏が先か卵が先かの問題に帰着する。

2017年のスマホの販売台数はほぼ横ばいだった。従来の市場予測会社は4~6%程度の成長を見込んでいた。スマホの次が見えない以上、スマホの買い替えを含めた新規市場は数千万台規模で毎年増えていく。年間15億台前後売れてきたスマホはわずか4%しか伸びなくても6000万台の新規製品が毎年生まれてくることになる。極めて巨大な製品市場になった。

パソコンの出荷台数は2017年には下げ止まるとみられていたが、メモリが高すぎてパソコンも高くなり、結局2〜3%台数ベースで減少した。メモリ価格がもっと安くなればスマホもパソコンも昨年ほどひどくはならない。スマホやパソコンを組み立てている台湾本社の鴻海精密工業の18年1月の売上額は前年同月比16%増の4006億元(1元=3.65元)に増えたが、iPhone Xの組み立て需要が17年12月と比べて4割減になった、と16日の日経産業新聞は報じている。iPhone Xが売れなかったのは、NAND、DRAMともメモリが高価格だったため。他のスマホも売れなかった。

メモリの値上がりなどでメモリメーカーや半導体製造装置メーカーが潤った反面、その恩恵を受けられなかった半導体メーカーは伸び悩んだ。TSMCの2017年の売上額は前年比わずか3.1%増の9774億元にとどまった。TSMCはメモリを製造しないうえに、大きな売上比率のスマホが伸びなかったこと、Qualcommの10nmという最先端アプリケーションプロセッサチップをSamsungにとられてしまったこと、などが響いた。

メモリ値上がりの問題は、3D-NANDという新プロセス導入のため半導体製造装置メーカーにとっても大いに潤った反面、DRAMではSamsungの独走を許し、在庫の増加という危ない局面を迎えている。というのは、DRAMメーカーは生産量を増やしておらず、メモリ単価の増加だけでDRAMメーカーが昨年潤い、今でも値上がり傾向が続いているからだ。DRAM価格は2月になっても上がり続けているため、ユーザーは2重、3重発注をしてきており、在庫がたまりつつある、という情報も流れている。このため、DRAMの在庫量が見えてきて、その程度によっては値崩れを起こす恐れもある。

一方で市場シェアの独占という価格を左右することになりかねない事態も起きつつある。2017年第4四半期におけるトップSamsungの市場シェアは46%に達し、2位SK Hynixの28.7%を大きく引き離している。3位のMicronは20.8%で、この上位3社でシェアは95.5%にも達する。独占する立場になればDRAM価格を左右しかねず、DRAMプレーヤーが増えることは望ましいが、今のところ中国勢しか工場新設、増産の動きは見えない。

(2018/02/19)

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