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CESではAIとクルマが話題に

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1月9日から米国ネバダ州ラスベガスでIT/エレクトロニクスの見本市CESが開催され、CESからのニュースが多かった。CESでは従来の家電製品は少なく、AI、クルマ、5Gなど最新のITトレンドに合った技術や製品が展示されたようだ。CESを主催するCTAは、2013年にCESを家電見本市、Consumer Electronics Showと分解しないでくれ、とメディアに注文を付けていた(参考資料1)。

CESのCはConsumerだけではなく、Computerであり、Carでもあり、Communicationsでもある。だから分解するなと5年前から注意を喚起していた。

今回のCESでは、やはりAIを使った製品としてグーグルの音声認識技術「グーグルアシスタント」や、同じくアマゾンの「アレクサ」音声認識技術を搭載したさまざまな製品が展示されていた、と1月12日の日経産業新聞や11日の日本経済新聞が報じた。オランダの家電メーカー、スマノス社では「ヘイ、グーグル、部屋の明かりをつけて」といったデモや、ソニーやレノボもグーグルアシスタントを搭載した製品を発表し、韓国のLGは音声認識を利用したプラットフォームを開発、すべての家電製品を音声で制御できるような仕組みを作った。また、ノキアはフランスのヘルスケア企業ウィジングス社を2016年に買収したが、そのウェアラブル製品や体重計をノキアブランドで販売する計画で、アマゾンの「アレクサ」を搭載するとしている。アレクサは、フォードをはじめとして700社以上の企業が採用しているという。

音声認識技術はクルマにもなじみが良い。ハンドル操作しながら手を操作パネルに使うことを避けるためだ。パナソニックが車載機器にアレクサを搭載し、トヨタも今年から米国で発売する新型車の一部に搭載するという。音声認識だけではなく、パターン認識にもAIは威力を発揮するため、AIとクルマの関係もなじみが良い。中国における検索サイトの「百度(バイドゥ)」も地場の自動車メーカーに自動運転技術向けにAI技術を提供しているという。NvidiaはGPUでクルマ関連企業320社と協業しているとしている。

また、グーグルはクルマ用のOS「アンドロイドオート」をプロモーションし、自動車関連メーカーが50社以上採用したと伝えている。また車載製品とスマートフォンをつなぐ通信規格「SDL(Smart Device Link)」に関するフォードの話にも触れている。SDLの標準化団体にトヨタも参加しているが、アマゾンも加わったとしている。

CESの話題ではないが、クルマの4大トレンドCASE(Connectivity, Autonomous, Sharing, Electrification)の内、コネクテッドカーのV2Xの通信にセルラーネットワークを利用する「セルラーV2X」を使った実証実験に日産自動車やNTTドコモ、ドイツのContinental、スウェーデンのEricsson、OKI、Qualcommの6社が参加すると発表した。V2Xでは、IEEE802.11pという長距離のWi-Fi規格が欧州で先行しているが、セルラー方式は通信業者や通信機器メーカー、セルラーに強い半導体メーカーが参加して巻き返しを図ろうとしている。

12日の日経は、Microsoftが台湾にAIの研究開発センターを作ると報じた。2年間で40億円を投資し、5年以内に200名を超える研究センターにする。音声認識に加え、コンテキストアウェアネス機能もさまざまな機器に搭載できるようになるとして、台湾当局もAIを通じた産業構造の転換を急ぐとして支援していくという。

国内ではAIを搭載したアイボが発売され、話題を呼んだ。また、国内の大手企業がコーポレートVC(ベンチャーキャピタル)を設立する動きが活発になっており、2017年には自社のVCを通じて投資した金額は過去最高の681億円に達し、5年前よりも27倍に増えたと13日の日経が伝えた。投資の件数も前年より19%増の172件になったとしている。最近でも、日産・ルノー・三菱グループがAIや自動運転にコーポレートVCを設立し5年で10億ドルを投資すると発表した。シリコンバレーにVCを設立した企業もある。17年にトヨタやパナソニックが設立している。

経済産業省も、ベンチャー企業を支援すると11日の日経が報じた。NEDOを通じて、ベンチャーが大企業のデータを使ってAIを開発するような事業に補助金を出す。2018年に始める補助事業では、ベンチャー企業がデータを活用したAIの共同開発計画を作成するという。17年度の補正予算で24億円を計上した。

参考資料
1. International CESからの報道相次ぐが、もはや家電見本市ではない (2013/01/15)

(2018/01/15)

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