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AIに大きなビジネスチャンス、人材獲得も活発

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AIは本格的に浸透しそうだ。産業技術総合研究所はAI専用の大型スーパーコンピュータの運用を2018年4月にも開始、富士通はMicrosoftと共同で、AIを組み込んだ働き方改革ソリューションを開発する。AI学会NIPS(Neural Information Processing Systems)を舞台に人材獲得合戦が激しさを増している。半導体分野では設備投資が進んでいる。

産総研の目的は、企業の利用を幅広く受け入れることで、学習に膨大な計算を必要とする高度なAIの研究開発をしやすい環境を国内に整えることだ。利用するためのコンソーシアムを作り、加盟企業などが利用できる体制を用意したいとする。ただし、共同研究をしていない企業や研究機関にも有償で専用スパコンの利用を認める方針だとしている。

富士通とMSは、企業向けの総合ビジネスソフトウエア「Microsoft 365」の文書や、メールなどのビッグデータをAPI「Microsoft Graph」を通して集計し、企業名にあるビッグデータと、富士通のAIプラットフォームのZinraiおよびMSのクラウドプラットフォーム「Azure」上で提供されるAIプラットフォームを使って、働く人を中心とした働き方改革を実現するソリューションを共同で開発する。新しく開発したソリューションを使い、2018年第2四半期から日本市場でのサービス提供を目指す。

AI学会NIPSは12月4日から開かれ、31回目を迎えたが、日本企業の存在感が極めて薄い、と21日の日本経済新聞が報じた。NIPSは最近のAIブームによって参加者は8000名弱と7年前の6倍にも達している。またスポンサーブースもあり今年は70社が出展したが、日本企業はプリファード・ネットワークスしか出展しなかったとしている。ここでは、講演発表する博士課程の大学院生や若手エンジニアのリクルーティングの場になっているという。

かつて半導体の学会IDEMやISSCCでも「リクルーティングは禁止」という張り紙を掲げていた。共にIEEE主催の学会であり、学術的なコンテンツを発表する場であるから禁止を謳っていた。しかし、実際に、プレゼンが上手で内容が素晴らしい発表した若手の研究者には、企業の研究所長らしい人物が近づき、「後でディナーでも一緒に食べよう」と言っている光景を筆者は何度となく見てきた。先端研究の学会発表は、リクルーティングの場として最も効率が良いためだ。今はAI学会で引き抜き合戦が始まっている。

クラウドAIを利用するデジタルアシスタント(日本名・AIスピーカー)がクルマでも使われようとしている。韓国の現代自動車は、AIを使った対話型音声認識機能を2019年から新車に搭載すると22日の日経が報じた。常時クラウドとつながるコネクテッドカーではデジタルアシスタント機能は、ハンズフリーで応答できるため、安全性に問題は少ない。しかも、「エアコンを25度にして」とか「ビートルズの音楽をかけて」といったような、ミッションクリティカルではない言葉なら、クラウドのレイテンシでも十分に対応できる。日本でもLINEがトヨタと組み、LINEのアシスタント「Clova」のクルマへの応用を検討している。

半導体投資では、Samsungが10nm台の新型DRAMの量産を始めたと21日の日経が報じた。第2世代の10nm台のDRAMということなので、第1世代が18nmであるから15~16nm台ではないかとみている。DRAM第2位のSK Hynixは今秋、18nmのDRAMの量産を始めたばかりで、全体に占める割合は1割にも満たないという。SamsungはDRAMで大きくリードするようだ。セミコンポータルでは11月に報じたように(参考資料1)、Samsungは2017年の世界半導体ランキングで初めてIntelを抜き、トップに立つ見通しである、と24日の日経が報じた。

SamsungはDRAMとNANDフラッシュで共にトップを行くが、ファウンドリも手掛けている。SK Hynixもファウンドリを手掛けているが、まだ目立った業績を上げておらず、中国にファウンドリ会社を設立する計画を進めていると21日の日経が伝えた。それによると、Hynixのファウンドリ事業は赤字で、中国企業との合弁企業を設立し、中国での受注に活路を見出すという。

また、東芝は、東芝メモリの岩手工場となる北上市に新たに製造棟を新設する計画を発表した。2017年度中の投資額は一部建設材料の先行手配を含めて70億円を見込んでいる。2018年度以降に関しては市場を見ながら生産能力、生産設備を詰めていくとしている。22日の日刊工業新聞は、早ければ20年ごろに量産体制が整う見通しだと伝えている。


参考資料
1. 2017年世界半導体のトップはSamsungに (2017/11/21)

(2017/12/25)

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