セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト

設備投資・新IP会社・増産へと踏み出す半導体産業

|

半導体産業のさらなる成長に向けた設備投資、新会社、生産能力の増強などの動きが先週あった。さらに、セキュリティやAIに対処するための人材育成の計画が続出し、モノづくり産業を活性する「Maker Movement」のイベントがビッグサイトで開かれた。すなわち、半導体を利用する側も活性化してきている。

東芝は岩手県北上市に3D-NANDフラッシュの新工場を建設すると、8月7日の日刊工業新聞が報じた。2018年度にも着工し21年度までに2棟を稼働させるという。総投資規模は1兆円になるとしている。新工場は、東芝発のファウンドリサービス事業を行うジャパンセミコンダクターの岩手事業所の隣接地に建設するという。ただし、全額を東芝メモリが出資するか、四日市工場で合弁を組むWestern Digitalも出資するのかは決まっていないようだ。

自動車関連企業でティア1のデンソーはIPベンダー「エヌエスアイテクス」を新会社として設立する、と8月9日の日経産業新聞および日刊工業が報じた。デンソー本体ではなく、新会社を作るのはデンソー以外の自動車部品メーカーにも製品を採用してもらうためだとしている。デンソーは元々、トヨタの子会社として出発したものの、7月末に発表した2017年4〜6月期の決算報告によると、トヨタ向けの売り上げが44.7%に下がり、トヨタ以外のホンダや日産、スバルなどの国産メーカー以外のGMやFord、BMWなども顧客としている。IPはデータフロープロセッサを開発しており、このIPを半導体メーカーなどに売り込むようだ。データフローのアーキテクチャはAI(人工知能)のような経路探索を可能にする。デンソーはトヨタの中型車「カムリ」に24GHzの準ミリ波レーダーを搭載したというニュースも11日に日刊工業が掲載した。

シリコンウェーハ大手のSUMCOは、436億円を投じ、300mmウェーハの生産能力を従来の5~10%増強するようだ、と9日の日本経済新聞が報じた。半導体シリコンの供給不足がこのところ続いていながらも、シリコン結晶メーカーは増産を発表してこなかった。トップメーカーの信越化学工業は増産を発表していないが、信越とSUMCOで世界のシリコンウェーハの6割弱を占めている。2011年以降、ウェーハ面積が増加傾向を示しているのにも関わらず、売り上げが下がる、という状況が続いていた(参考資料1)。ウェーハ単価が必要以上に下がったためだ。このため需要が高まっても、両トップメーカーとも増産に踏み切らなかった。SUMCOはかつて大幅な投資を行った後に不況に見舞われ、利益が出なかった時期があり、増産に躊躇していた。このほど、IoTをはじめとする将来への期待感が出てきたため増産投資を行うと決めたようだ。

NANDもDRAMもメモリと言えば大量生産で、顧客も大手、と決まっていた。このためSamsungもSK Hynix、東芝も大きな投資を行い、大量生産してきた。このような大手に敗れた台湾の南亜科技は、DRAMでもIoT向けの中小の顧客開拓に成功、2017年4〜6月期の連結純利益は前年同期比16倍の64億台湾元(1元=3.6円)に回復した。

不調なのが台湾のMediaTek。これまで中国向けにQualcommより安いアプリケーションプロセッサを出荷していたが、中国のSpreadtrumやHiSiliconなどが力をつけ、MediaTekの顧客を奪っていき、2017年4〜6月期の売上額は前年同期比2割減の580億台湾元、純利益は67%減の22億台湾元へと低下した。高性能品ではQualcommと、低価格品では中国メーカーと競争し、MediaTekは今、岐路に立たされている。

半導体を大量に使うIT分野では、セキュリティやAIといった新しい分野が登場してきたことで、人材の育成が急がれている。富士通は社内認証制度や研修を通じ、2019年度までにサイバーキュリティ関連の人材を現在の5倍の1万人に増やすと14日の日経が報じた。NECもセキュリティの専門技術者を18年度までに1200人と2割増やす。AIでは富士通は18年度末までに3.5倍に増やす方針で、NECも1000人超と現在より7割増やす。日立製作所もOJTによりAI人材を強化するという。

14日の日刊工業は、国内で手作りのモノづくりを行う「メーカーフェア」を開催したというレポートを掲載した。世界的に今、「Maker Movement」と呼ばれるモノづくり回帰が起きている。これまでモノづくりをしたことのない学生や若いエンジニアがモノづくりで起業し始めている。パソコンに搭載できる3D-CADが入手でき、そのCADデータを3Dプリンタに投入してモックアップを製作することができる環境が整っている。国内でもDMM.makeというモノづくりのための工作室が秋葉原にあり、誰でも借りられるようになっている。「新卒者が金融分野でなく、モノづくり産業で働いたり起業したりするようになってきた」と米国の取材先で言われたことを思い出した。

参考資料
1. ウェーハ面積、市場最大だが、販売額は上がらず (2017/02/08)

(2017/08/14)

月別アーカイブ

セミコンポータルはこんなサービスを提供します